先週、営業オペレーションチームの友人からこんな連絡が来ました。「仕入先サイトにある商品一覧200件をスプレッドシートに取り込みたいんだけど、ScrapingBee と Thunderbit ならどっちを使うべき?」
私が最初に聞き返したのは、「コードは書ける?」でした。答えは「もちろん書けない」。その時点で、ほぼ結論は見えたようなものです。ただし、話はそれだけでは終わりません。
この2つのツールは、どちらも「Web上のデータを構造化して取り出す」という同じ目的を持っていますが、やり方はまったく違います。ScrapingBee は APIキーとドキュメントを渡してくれる一方、Thunderbit はブラウザ上のボタンと、抽出候補をAIが提案してくれる仕組みを提供します。前者は、細かな制御を求める開発者向けの基盤。後者は、スプレッドシートにそのままデータを取り込みたいビジネスユーザー向けのビジュアルなワークフローです。
この記事では、同じタスクを両方のツールで実行しながら比較します。実際のコストの考え方も分解し、表面上のクレジット数がいかに誤解を招きやすいかも説明します。さらに、機能面を率直に見比べたうえで、よくある6つのユースケースについて「こういう人にはこれ」という形ではっきり整理します。
加えて、他の記事ではあまり触れられない「実は両方使うのが合理的なケース」にも触れます。Thunderbit はエージェント型の Webスクレイパーです。
Thunderbit は エージェント型 Webスクレイパー です。対応している正規のページで One Click Extract をクリックすると、エージェントがページを検出・読み取り・解析し、何を抽出すべきかを判断します。Run Now を押せばすぐに開始しますが、何もしなければ自動でタスクが始まるため、基本操作は意図的な1クリックだけ。コードもセレクタもスキーマ設定も必要ありません。
ScrapingBee とは? どんな人向け?

ScrapingBee は、開発者や技術チーム向けに作られた API ファーストの Webスクレイピングサービスです。URL と設定パラメータを HTTP リクエストで送ると、ScrapingBee が代理でページを取得してくれます。裏側ではプロキシ、JavaScriptレンダリング、ボット対策を処理してくれるため、ユーザーは気にしなくて済みます。設定次第で、HTML、Markdown、プレーンテキスト、スクリーンショット、構造化JSONを受け取れます。
この製品は、2025年6月に Oxylabs が買収してから大きく成長しました。ScrapingBee は独立した製品として継続され、その後チームは、サポート改善、Google 呼び出し時の価格変更、今後のインフラ強化をこの買収の成果として説明しています。
現在の ScrapingBee の主な機能は以下の通りです。
- プロキシ階層: Classic のローテーションプロキシ、Premium プロキシ、Stealth プロキシ。国別ルーティングや固定IPセッションにも対応
- JavaScriptレンダリング: 待機、表示領域の制御、
js_scenarioアクション(クリック、スクロール、フォーム入力、無限スクロール)に対応 - 複数の出力形式: レンダリング後HTML、元ソース、プレーンテキスト、Markdown、スクリーンショット(表示領域全体、ページ全体、要素単位)、JSON
- 構造化抽出: CSS/XPath の
extract_rules、またはAIベースのai_query/ai_extract_rulesパラメータで抽出可能 - 専用サイトAPI: Google(Web、ニュース、マップ、画像、ショッピング、AI Mode)、Amazon、Walmart、YouTube(検索、メタデータ、字幕)、Fast Search
- SDK対応: Python、Node.js、Java、Ruby、PHP、Go、cURL に加え、CLI と Make、n8n、Zapier との公式連携
対象ユーザーは明確です。API リクエストの組み立てや抽出パイプラインの構築に慣れた、開発者、データエンジニア、技術チームです。ScrapingBee にはダッシュボード上のリクエストビルダーや、エージェントワークフロー向けの remote MCP server もあります。その意味では「APIファースト」が「コードしか使えない」より正確です。ただし、考え方の中心はあくまでAPIリクエストであり、ビジュアルなブラウザツールではありません。
Thunderbit とは? どんな人向け?

Thunderbit は、特に営業チームやオペレーションチームのようなビジネスユーザー向けに設計された、AI搭載のWebスクレイピングプラットフォームです。主な操作画面は Chrome / Edge のブラウザ拡張機能で、コードを書かずに、今見ているページから構造化データを抽出できます。
基本の流れはこうです。ページを開き、拡張機能を起動して One Click Extract をクリックすると、エージェントがページを解析します。Run Now を押せばすぐ開始し、何もしなければ自動で実行されます。そのあと、データは Excel、Google Sheets、Airtable、Notion に直接エクスポートできます。APIリクエストも、CSSセレクタも、JSONの解析も不要です。
ビジネスユーザー向けの主な機能は以下の通りです。
- One Click Extract がページを読み取り、テーブル構造を提案する(例: 商品名、価格、評価、URL)
- Field AI Prompts で列ごとの指示を追加できる。抽出時に要約、分類、翻訳、整形、ラベル付けが可能
- Subpage enrichment で一覧ページから詳細ページへリンクをたどり、より深い情報を取得
- Pagination handling で複数ページの結果に対応
- Scheduled extraction で定期モニタリングを自動化
- Document and image parsing でPDFや画像からも抽出可能
- 直接エクスポート: Excel/CSV、Google Sheets、Airtable、Notion
ただし Thunderbit は拡張機能だけではありません。私たちのチームは Open API も提供しており、Distill(Markdownの整形)と Extract(構造化出力)の操作が使えます。さらに、AIエージェント向けの MCP Server と、ターミナルで使える CLI もあります。つまり、開発者向けの道筋も用意されています。ただし、ランチまでに見込み客リストが必要な営業担当者にとっての主戦場は、やはり拡張機能です。
同じページを2つのツールで試す: 手順ごとの比較

機能を横並びで並べるだけではなく、ここでは1つの具体的な作業を両方のツールで実行してみます。公開ECカテゴリページから、商品一覧(商品名、価格、評価、URL)を抽出するケースです。
ScrapingBee の流れ: APIキーからデータ取得まで
ステップ1: 登録してAPIキーを取得する。 ScrapingBee にアカウントを作成し、ダッシュボードからAPIキーを取得します。ここまでは簡単です。
ステップ2: パラメータを理解する。 ここで学習コストが発生します。render_js(デフォルトで有効)、プロキシ階層(classic / premium / stealth)、出力形式、抽出方法を決める必要があります。どの設定を選ぶかで、結果も 消費クレジット数 も変わります。
ステップ3: リクエストを組み立てる。 ダッシュボードのリクエストビルダーを使うことも、コードで書くこともできます。Python の例はこんな感じです。
import requests
response = requests.get(
url="https://app.scrapingbee.com/api/v1/",
params={
"api_key": "YOUR_API_KEY",
"url": "https://example-store.com/products",
"extract_rules": '{"name": "h2.product-title", "price": ".price", "rating": ".stars"}'
}
)
ステップ4: リクエストを送信し、レスポンスを検証する。 JSON出力を確認し、エラー処理を行い、データが正しく取れているかチェックします。
ステップ5: 出力先に流す。 コードでファイル保存やデータベース送信を行うか、Make や n8n のような自動化ツールを通してスプレッドシートへ渡します。
各ステップで技術知識が求められます。extract_rules やAI抽出で構造化JSONが返るとしても、リクエストの作成、エラー処理、ページ送りのロジック、下流への受け渡しは、結局自分で面倒を見る必要があります。
Thunderbit の流れ: ブラウザからスプレッドシートへ
ステップ1: インストールしてサインインする。 Thunderbit Chrome拡張機能 を追加し、アカウントでログインします。
ステップ2: 対象ページを開く。 ブラウザでECカテゴリページを表示します。サイトにログインが必要な場合でも、すでにブラウザセッションで認証済みです。
ステップ3: One Click Extract をクリックする。 Thunderbit のAIがページを読み取り、商品名、価格、評価、URL といった列を提案します。「何を抽出すべきか」をAIが考えてくれます。
ステップ4: 確認して編集する。 列名を変更し、不要な列を削除し、列ごとの指示を追加します(例: 「価格をUSDに変換」「electronics / clothing / other に分類」)。ここは重要です。完全なワンクリック放置ではありません。
ステップ5: タスクの自動開始を待つか、Run Now を使う。 データは拡張機能内のテーブルとして整形されます。複数ページがあるならページネーションを設定します。
ステップ6: エクスポートする。 Export をクリックし、出力先を Excel、Google Sheets、Airtable、Notion から選びます。完了です。
どのステップでもコードを書く必要はありません。作業はすべてブラウザ内で完結します。
手順を並べて比較する表
| ステップ | ScrapingBee(API) | Thunderbit(拡張機能) |
|---|---|---|
| アカウント設定 | ダッシュボードでAPIキーを取得 | 拡張機能をインストールしてログイン |
| 対象の指定 | APIリクエストURLとパラメータを組み立てる | Chromeで対象ページを開く |
| 取得項目の指定 | CSS/XPathセレクタを書く、またはAI抽出パラメータを使う | One Click Extract が列を提案。必要に応じて編集 |
| 実行 | HTTPリクエストを送信(cURL/Python/Node/CLI) | 「Scrape」をクリック |
| 出力の解釈 | JSONレスポンスを検証し、コードでエラー処理 | 拡張機能内に構造化テーブルとして表示 |
| エクスポート | コードでファイル/DBに保存、または自動化ツール経由で送信 | Excel、Google Sheets、Airtable、Notion に出力 |
この違いは見た目の差ではなく、設計思想の差です。
ScrapingBee は、あらゆる層で制御できるのが強みです。Thunderbit はその層を抽象化し、データそのものに集中できるようにしています。
結果が出るまでの早さ: 実際にはどれくらい速いのか?
既存の比較記事ではこの点を数値化していないので、ここで勝手にベンチマークを作るつもりはありません。ただし、必要な手順数とスキルは数えられます。そして、その差はかなり大きいです。
ScrapingBee: 開発者向けの道
REST API に慣れた開発者なら、次のような流れになります。
- 登録する(2分)
- ドキュメント を読み、エンドポイントのパラメータ、クレジット倍率、抽出オプションを理解する(最初の確認で15〜30分)
- 適切なセレクタで初回APIリクエストを書く(ページのDOMが複雑だと10〜20分以上)
- デバッグ・調整・レスポンス検証を行う(可変)
- 出力の整形と保存処理を書く(5〜15分)
APIに慣れた開発者なら、シンプルなページであれば30〜60分ほどで完了できる可能性はあります。とはいえ、これは手順ベースの編集上の見積もりであって、実測ではありません。非開発者の場合は? コードを学ばない限り、あるいは誰かの助けがない限り、そもそも完了は難しいでしょう。
Thunderbit: ブラウザで進める道
技術背景に関係なく、誰でも使える流れは次の通りです。
- 拡張機能をインストールする(1分)
- 対象ページを開く(1分)
- One Click Extract をクリックすると、エージェントがページを解析して抽出準備をする
- Run Now を押してすぐ開始するか、自動開始と結果を待つ(1〜2分)
- 好きな出力先にエクスポートする(1分)
手順数が少なく、どの段階でも技術知識は必要ありません。多くのユーザーは、現実的には10分以内で終えられるでしょう。なお、これもあくまでワークフローに基づく見積もりで、厳密な実験結果ではありません。
学習コスト: APIドキュメント vs AIの提案
学習モデルそのものが違います。ScrapingBee では、REST API、HTTPメソッド、JSONの解析、CSS/XPath セレクタ、クレジット倍率、プロキシ設定を理解する必要があります。開発者からの評価は高いですが、問題は品質ではなく、非技術ユーザーにとってAPIファーストのアプローチが本質的に複雑だという点です。
Thunderbit のエージェントは、初心者にとって最も難しい「何を抽出するか」「それがページのどこにあるか」を代わりに判断します。DOMを調べたりセレクタを書く必要はありません。エージェントが抽出計画を決め、自動で開始します。
| 観点 | ScrapingBee | Thunderbit |
|---|---|---|
| オンボーディング手順 | 登録 → ドキュメント確認 → リクエスト作成 → デバッグ → 解析 → 出力 | インストール → ページ移動 → One Click Extract → エージェント分析 → 自動開始 → 出力 |
| 必要な技術スキル | APIの理解、コーディング、DOM確認 | ブラウザ操作、テーブル確認 |
| 初回出力までの想定時間 | 約30〜60分(開発者) | 約5〜10分(誰でも) |
| 非開発者でも使えるか | 大きな支援なしでは難しい | はい |
Thunderbit と ScrapingBee の機能比較
できるだけ公平に比較しています。どちらのツールにも、確かな強みがあります。
| 機能 | Thunderbit | ScrapingBee |
|---|---|---|
| 主な操作画面 | ブラウザ拡張機能 + 結果テーブル; Web アプリ | REST API + SDK; ダッシュボードのリクエストビルダー |
| 主なユーザー | 営業、オペレーション、マーケティング、非技術チーム | 開発者、データエンジニア、技術チーム |
| 導入方法 | 拡張機能をインストールしてログイン | APIキーを取得し、リクエストを作成・設定 |
| コーディング要否 | なし(拡張機能);あり(API/CLI) | あり(API/SDK);Make/n8n/Zapier でローコード対応 |
| AI抽出 | One Click Extract + 任意の Field AI Prompts | ai_query、ai_extract_rules、ai_selector |
| JavaScriptレンダリング | Browser Mode(現在のセッション);Cloud Mode;APIのレンダーモード | 管理されたヘッドレスブラウザ;js_scenario アクション |
| プロキシ/ボット対策 | 管理済みプロキシ/ボット対策;APIで国・ヘッダー・Cookieを制御 | Classic / Premium / Stealth プロキシ;地域指定、固定IP、ヘッダー、Cookie |
| ページ送り/サブページ | ページネーション、無限スクロール、サブページ拡張を内蔵 | URLやアクションをユーザーが制御;CLIでクロール/バッチ処理 |
| スケジューリング | 定期スクレイパー;APIバッチ/ウェブフック | 外部スケジューラ/自動化ツールが必要(ホスト型スケジューラなし) |
| 出力先 | Excel/CSV、Google Sheets、Airtable、Notion | コードでファイル/DBへ保存;自動化ツール経由で Sheets/Airtable へ送信 |
| ドキュメント/画像解析 | PDF と画像から抽出可能 | スクリーンショット、ページ/ドキュメント応答機能 |
| 専用サイトAPI | 一般抽出が中心 | Google、Amazon、Walmart、YouTube、Fast Search |
| エージェント連携 | 公式 MCP Server と CLI | Remote MCP と CLI |
| 連携 | 直接出力;API/MCP/CLI | Python、Node、Java、Ruby、PHP、Go のSDK;Make、n8n、Zapier |
ScrapingBee が優れている点
ScrapingBee が特に強い点を挙げると、次の通りです。
- 細かなプロキシ制御。 Classic、Premium、Stealth の各プロキシを選べて、国別ルーティング、固定IPセッション、独自ヘッダーやCookieの転送も可能です。保護の強い対象をスクレイピングするなら、この制御性は重要です。
- 専用サイトAPI。 Google Search(AI Mode、マップ、画像、ショッピングを含む)、Amazon、Walmart、YouTube の各エンドポイントは、特定プラットフォーム向けに構造化データを返します。大規模なSERP監視やEC価格追跡をAPIで行うチームには大きな利点です。
- スクリーンショット機能。 表示領域、ページ全体、要素単位のスクリーンショットは、視覚的な監視やコンプライアンス用途に役立ちます。
- 高度なリクエストカスタマイズ。
js_scenarioにより、抽出前にクリック、スクロール、フォーム入力、カスタムJavaScriptの実行ができます。複数ステップの複雑なスクレイピングで力を発揮します。 - 開発者エコシステムの成熟度。 7言語のSDK、充実したドキュメント、そして4,000人以上の開発者がいる成熟したコミュニティがあります。
Thunderbit が優れている点
次に Thunderbit 側です。私自身チームの一員ですが、実例をもって言えます。
- ノーコードのビジュアルワークフロー。 拡張機能からスプレッドシートまでの流れで、技術スキルは不要です。One Click Extract により、セレクタや抽出ロジックを手書きする必要がありません。
- ビジネス向けの直接出力。 コードも自動化ツールの設定もなしで、Excel、Google Sheets、Airtable、Notion にワンクリックでエクスポートできます。
- Field AI Prompts。 抽出後の別工程ではなく、抽出中に要約、分類、翻訳、整形、ラベル付けができます。
- Subpage enrichment。 一覧ページから詳細ページへリンクをたどって、より深い情報を取り込めます。すべて拡張機能内で完結します。
- ブラウザセッションの強み。 拡張機能は自分のブラウザ上で動くため、許可されたページでは既存のログイン状態やセッション文脈を活用できます。
- ドキュメント/画像解析。 Webページと同じワークフローで、PDFや画像から構造化データを抽出できます。
実際のコスト: Thunderbit と ScrapingBee の料金比較

比較記事の多くは、料金の見せ方を誤解しています。月額料金とクレジット数を横に並べて、「49ドルで25万クレジットならかなりお得」と見せるのですが、実際はそう単純ではありません。
ScrapingBee のクレジット倍率の仕組み
ScrapingBee の クレジット制度 は、リクエストごとに有効にする機能で倍率が変わります。
| リクエスト設定 | 1回あたりのクレジット |
|---|---|
| Classic proxy、JSオフ | 1 |
| Classic proxy、JSオン(デフォルト) | 5 |
| Premium proxy、JSオフ | 10 |
| Premium proxy + JS | 25 |
| Stealth proxy + JS | 75 |
| AI抽出 | ベースに +5 |
render_js はデフォルトで true なので、標準的な Classic proxy リクエストは 5 クレジットかかります。つまり、Freelance プランの25万クレジット で取得できるのは、デフォルトのJS付きリクエスト5万回分であって、25万回ではありません。Premium proxy + JavaScript なら1万回、Stealth + JS なら約3,333回です。
具体的には次のようになります。
| 25万クレジットでできること | 実際のリクエスト数 |
|---|---|
| 静的な Classic(JSオフ) | 250,000 |
| デフォルトJS(Classic) | 50,000 |
| Premium + JS | 10,000 |
| Stealth + JS | 約3,333 |
| デフォルトJS + AI抽出 | 25,000 |
Thunderbit のクレジット制度
Thunderbit のノーコード拡張機能は、入力ページではなく 出力行数 に対して課金されます。標準の1行 = 1クレジットです。サブページ拡張を行った行は 2 クレジットになります。したがって、50商品あるカテゴリページなら、約50クレジット(標準)または100クレジット(サブページ拡張あり)です。
Thunderbit の API料金 は別体系です。Distill は1ページあたり1ユニット、Extract は1ページあたり20ユニットで、別の計測方法で課金されます。
ワークロード別のコスト比較
この2つの料金体系を直接比較するのは簡単ではありません。なぜなら、測っている対象が違うからです(リクエスト数 vs 出力行数)。それでも、よくある作業をできるだけ同じ条件で見た場合の比較を試みました。購入を決める前に、必ず各ツールの最新の ScrapingBee 料金ページ と Thunderbit 料金ページ を確認してください。
| ワークロード | ScrapingBee | Thunderbit(拡張機能) |
|---|---|---|
| 1万ページ、静的/Classic | Freelance $49(25万クレジット中1万分) | Pro 3 $125(約1万出力行を想定) |
| 1万ページ、JSレンダリング(デフォルト) | Freelance $49(25万クレジット中5万分) | Pro 3 $125(行ベースなので同様) |
| 1万ページ、Premium+JS | Freelance $49(25万クレジットをほぼ使い切る) | Pro 3 $125 |
| 5万ページ、JSレンダリング | Startup $99(100万クレジット中25万分) | Pro 4 以上、または Thunderbit API を利用 |
| 10万ページ、JSレンダリング | Startup $99(100万クレジット中50万分) | Thunderbit API またはカスタムプラン |
| 10万ページ、Premium+JS | Business $249(300万クレジット中250万分) | Thunderbit API またはカスタムプラン |
ここでいくつか見えてくることがあります。
静的ページや保護の弱い対象を大量に扱う場合、ScrapingBee の1リクエスト単価は非常に低くなります。一方、営業リスト、競合スナップショット、市場調査のような中規模のビジネスデータでは、Thunderbit の行ベース課金は予測しやすく、プロキシ階層で価格が変動しません。大規模化(5万ページ以上)すると、どちらのツールも上位プランやAPIアクセスが必要になります。
重要なのは、ScrapingBee の実効コストは「どれだけ多くスクレイピングするか」だけでなく、「どうスクレイピングするか」(プロキシ階層、JSレンダリング、AI抽出)に大きく左右されることです。Thunderbit のコストは「何行抽出するか」に依存します。
ユースケース別の結論: こういう場合は Thunderbit / ScrapingBee
単なる機能一覧ではなく、意思決定のための整理です。
| ユースケース | 向いているツール | 理由 |
|---|---|---|
| 単一サイトからの素早いリードリスト作成 | Thunderbit 拡張機能 | ノーコード。One Click Extract から Sheets への出力まで数分 |
| 本番アプリのスクレイピングパイプライン | ScrapingBee API | 開発者向け統合、安定したエンドポイント、プロキシ管理、エラー処理向け設計 |
| 価格監視(定期実行) | 規模による | 中規模なら Thunderbit の定期抽出。大規模なら ScrapingBee + 外部スケジューラ |
| 一度きりの市場調査 | Thunderbit 拡張機能 | その場で見ながら使える。アドホック作業で初期設定が不要 |
| 大規模SERPデータ収集 | ScrapingBee API(または Thunderbit Open API) | Google検索専用APIがある。大量処理ではAPIスループットが重要 |
| AI/LLMワークフローへのデータ投入 | どちらでも可(ただし形が違う) | ScrapingBee はコードや LangChain 経由。Thunderbit は MCP Server または Open API 経由 |
| その場での競合分析 | Thunderbit 拡張機能 | 競合ページを見ながら必要な項目を抽出し、そのまま出力可能 |
素早いリードリストや単発リサーチ
営業担当が、今日中に仕入先ディレクトリから200件の連絡先を集めたいなら、Thunderbit の拡張機能が最適です。ページを開いて、One Click Extract を押して、スクレイプして、Google Sheets に出力するだけ。APIキーも、コードも、エンジニア待ちもありません。このユースケースこそ、私たちが Thunderbit を作った理由です。そして、ノーコードのワークフロー が本当に時間を節約してくれます。
本番用スクレイピングパイプライン
エンジニアチームが、毎晩動作し、50のソースから取得し、リトライ処理を行い、データベースに流し込む自動パイプラインを作るなら、ScrapingBee の方が土台として適しています。安定したAPIエンドポイント、細かなプロキシ制御、複数のSDK、そして本番の信頼性に必要なリクエスト単位のカスタマイズが揃っています。オーケストレーションは自分たちで持つ。それが本番システムではむしろ理想です。
価格監視と定期実行
ここは本当に規模次第です。Thunderbit には定期抽出(Recurring Scrapers)があり、たとえば競合商品の価格500件を毎週追う、といった中規模監視に向いています。数千URLを常時監視するような大規模用途なら、ScrapingBee のAPIに cron、Airflow、各種自動化ツールを組み合わせる方が、スループットも制御性も高くなります。
大規模データ収集とAIワークフロー
SERP監視やECデータを大規模に扱うなら、ScrapingBee の Google、Amazon、Walmart、YouTube 専用API は確かな武器です。抽出ロジックを自分で考えなくても、構造化データを返してくれます。Thunderbit の Open API もAI構造化抽出で開発者ワークフローを支援しますが、専用のサイトエンドポイントは同じ形では持っていません。
AI/LLM パイプラインでは、どちらのツールにもエージェント対応の入口があります。ScrapingBee には remote MCP server と LangChain 連携があります。Thunderbit には 公式 MCP Server と CLI があります。選び方は、未加工のページアクセスと自前の抽出ロジックが欲しいのか(ScrapingBee)、それともスクレイピング工程の一部としてAI構造化抽出が欲しいのか(Thunderbit)で決まります。
Thunderbit と ScrapingBee を併用するケース
私が読んできた比較記事は、ほとんどが「どちらか一方」として話を進めます。
でも、実際には両方必要なチームもあります。しかも、それぞれ別の用途で。
たとえば、中規模企業を想像してください。営業・マーケティングチームには、すぐ使えるビジュアルなアドホック抽出が必要です。ディレクトリからのリードリスト、競合価格のスナップショット、提携候補の調査などです。彼らはコードを書かず、エンジニアを待ちたくもなく、明日までにスプレッドシートで欲しい。Thunderbit 拡張機能。
一方で、エンジニアチームは自動データパイプラインを構築しています。1万SKUの夜間価格監視、SEO向けSERP追跡、構造化データをレコメンドエンジンへ投入する作業です。彼らには、APIレベルの制御、プロキシ管理、リトライロジック、既存スタックとの統合が必要です。ScrapingBee API。
そして中間的な選択肢もあります。プロキシ管理を自分で持たずにAI構造化抽出を使いたい開発者は、Thunderbit の Open API や MCP Server を使えます。抽出セレクタを書かずに構造化出力を得られる、別の抽象化レイヤーです。
これは一般的なケースだとは言いません。たいていのチームは、主なニーズに応じてどちらか一方を選ぶでしょう。ただ、同じチーム内でも人によって解決したい問題が違う、と認める方が、何でも1つで済むと言い切るより誠実です。
Thunderbit と ScrapingBee の要約比較表
| 観点 | Thunderbit | ScrapingBee |
|---|---|---|
| 主な操作画面 | ブラウザ拡張機能 + ビジュアルテーブル | REST API + ダッシュボードビルダー |
| 主なユーザー | 営業、オペレーション、マーケティング、非技術者 | 開発者、データエンジニア |
| 導入時間 | 数分(拡張機能を入れるだけ) | 数分(APIキー取得)だが、その後に学習コストあり |
| コーディング要否 | なし(拡張機能);あり(API/CLI) | あり(API);Make/n8n/Zapier でローコード対応 |
| AI抽出 | One Click Extract + 任意の Field AI Prompts | ai_query、ai_extract_rules |
| 出力先 | Excel、Google Sheets、Airtable、Notion | コードでファイル/DBへ保存;自動化ツール経由で Sheets へ |
| プロキシ管理 | 管理済み(拡張機能/API) | Classic / Premium / Stealth を細かく制御可能 |
| 専用サイトAPI | なし | Google、Amazon、Walmart、YouTube、Fast Search |
| スケジューリング | 定期スクレイパーを内蔵 | 外部スケジューラが必要 |
| ドキュメント/画像解析 | あり | スクリーンショット; ページ応答機能 |
| 料金体系 | 出力行ごと(拡張機能);ページ/操作ごと(API) | リクエストごと + クレジット倍率 |
| 無料枠 | 無料プラン(毎月6ページ) | 無料トライアル(1,000クレジット、カード不要) |
| 最適な用途 | アドホック抽出、リードリスト、市場調査、非技術ユーザー | 本番パイプライン、大量APIワークフロー、保護された対象 |
| 学習コスト | 低い | 中〜高い |
| API/開発者向け機能 | Open API、MCP Server、CLI | REST API、7言語のSDK、CLI、MCP |
| G2評価 | 5.0/5(レビュー数は少ない) | 4.8/5(26件) |
| Capterra評価 | 4.8/5(9件) | 4.9/5(137件) |
(レビュー件数は異なるため、評価はあくまで参考値として見てください。)

どちらがあなたのチームに合う?
最初の段落から、本質は変わっていません。ScrapingBee は、スクレイピングパイプラインのあらゆる層を自分で制御したい開発者向けの基盤です。Thunderbit は、エンジニアの助けなしでデータをスプレッドシートに入れたいビジネスユーザー向けの、すぐ使えるツールです。
Thunderbit を選ぶべきなのは、非技術ユーザーで、すぐにデータが必要、作業がアドホックまたは中規模、そしてビジネスツールへの直接出力を重視する場合です。無料プラン を試して、Webページから使えるスプレッドシートまでどれだけ早く進めるか確認してみてください。
ScrapingBee を選ぶべきなのは、チーム内に開発者がいて、自動化パイプラインを構築しており、保護された対象に対して細かなプロキシ制御が必要、あるいは専用サイトAPIを通じて大量にスクレイピングしたい場合です。無料トライアル では、APIを試すための1,000クレジットが付与されます。
両方を選ぶべきなのは、組織の中に、アドホックな調査を行う非技術チームと、本番データ基盤を作るエンジニアチームの両方がいる場合です。用途ごとにツールを分ける。それで問題ありません。
どちらか一方が常に優れているわけではありません。最適な選択は、誰が使うのか、何を作るのか、どれだけの制御が必要なのかで決まります。この記事では、その判断を自信を持ってできるだけの材料を揃えたつもりです。
FAQ
ScrapingBee は無料ですか?
ScrapingBee には 1,000 APIクレジット 付きの無料トライアルがあり、クレジットカードは不要です。1,000クレジットは、デフォルトJSなら200リクエスト分(1回5クレジット)、静的リクエストなら1,000回分(1回1クレジット)に相当します。有料プランは月額49ドルからで、25万クレジットが含まれます。
Thunderbit はコードが必要ですか?
いいえ。少なくともブラウザ拡張機能の通常フローでは不要です。標準の流れは、One Click Extract → エージェントによる列の分析 → Scrape → Export です。セレクタも、API呼び出しも、解析コードも必要ありません。Thunderbit には開発者向けに Open API、MCP Server、CLI もあります。
同じWebサイトに Thunderbit と ScrapingBee の両方を使えますか?
はい。用途が違うからです。たとえば、ブラウザ上で素早く対話的に抽出するために Thunderbit の拡張機能を使い(調査中にリードリストを取るなど)、同じサイトを本番パイプラインで定期的かつ大量に処理するために ScrapingBee のAPIを使う、といった使い分けができます。
JavaScriptが多いサイトにはどちらが向いていますか?
どちらもJavaScriptレンダリングに対応しています。ScrapingBee は管理されたヘッドレスブラウザを使ってサーバー側でレンダリングします(デフォルトJSで5倍のクレジット、Premium/Stealth ではさらに増加)。Thunderbit の Browser Mode は現在のブラウザセッション内でページをレンダリングするため、JSが多いサイトにも対応し、既存のログインやセッション文脈も活かせます。とはいえ、どちらも全サイトでの成功を保証するわけではなく、結果は対象次第です。
ScrapingBee のクレジット倍率は実際どう動きますか?
ScrapingBee のAPIリクエストは、有効化した機能に応じてクレジットを消費します。静的な Classic リクエストは1、JSレンダリングは5(デフォルト)、Premium/Stealth プロキシは10〜75、さらにAI抽出はベース料金に +5 です。つまり、Freelance プランの25万クレジットは、設定によって実際のページ取得数が3,333回から25万回まで大きく変わります。実際に使うリクエスト種別を前提に、必ず実効コストを計算してください。
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