日本でウェブスクレイピングに関わる法律は、全部で5つあります。しかも面白いことに、そのどれを開いても「ウェブスクレイピング」という言葉そのものは一度も出てきません。
日本で自分のスクレイピング案件が合法かどうかを調べようとして、要領を得ないフォーラムの投稿や、AI学習の話に寄りすぎた記事、あちこちで食い違う助言の前で立ち往生した——そんな経験のある方は少なくないはずです。私は数週間かけて、日本の公式法令、政府のガイダンス、執行データ、そして法律家の解説を読み込み、できるだけ筋の通った形に整理しました。
楽天で競合価格をウォッチするにせよ、不動産データを取って市場を分析するにせよ、B2B の見込み客リストを作るにせよ、この記事では関わってくる法律をひととおり、実用的な表と実例、そしてデータ取得に取りかかる前に使える10項目のコンプライアンスチェックリストとあわせて解説していきます。
「日本でのウェブスクレイピングは合法」とは、実際には何を意味するのか?
ウェブスクレイピングとは、ソフトを使ってサイトから自動でデータを取ってくることですが、日本にはそれだけを正面から扱った単独の法律が存在しません。どの法令にも「スクレイピングは合法」とも「違法」とも書かれていないのです。案件が適法かどうかを決めるのは、何を取るのか、どのようにアクセスするのか、そして取ったあとそのデータをどう使うのか——この3点です。
法的な土台になるのは、次の5つの法令です。
| 法令 | スクレイパーに関係する内容 |
|---|---|
| 著作権法(1970年法律第48号) | 創作物、画像、テキスト、創造的な構成を持つデータベースの構造を保護します。第30条の4はデータ分析に広い例外を設けています。 |
| APPI(個人情報の保護に関する法律、2003年法律第57号) | 生存する個人に関する個人データの取得、利用、共有、越境移転を規律します。 |
| UCAL(不正アクセス行為の禁止等に関する法律、1999年法律第128号) | 認証やアクセス制御の迂回を犯罪化します。日本の対ハッキング法です。 |
| UCPA(不正競争防止法、1993年法律第47号) | 営業秘密および「限定アクセス共有データ」を不正取得から保護します。 |
| 刑法(1907年法律第45号) | スクレイピングがWebサイトの運営を妨害する場合、第233条、第234条、第234条の2が適用されることがあります。 |
この先では、5つの法律を一つずつ、実例とリスク評価を添えてかみくだいていきます。実務のポイントだけ先に知りたいという方は、10項目のコンプライアンスチェックリストへ飛んでください。
日本の著作権法と第30条の4:情報解析の例外
日本の著作権法が守っているのは、記事や写真、商品説明、創造的な配列を持つデータベース構造といった創作物です。スクレイパーが Web ページをダウンロードすると、法的には第21条にいう「複製」にあたります。これは著作者だけが持つ複製権です。
ところが、日本がほかと一線を画すのは、まさにここからです。
2018年、日本は大きな改正を行い(施行は2019年1月1日)、第30条の4を新たに加えました。これによって、分析を目的としたウェブスクレイピングの大半が認められる、柔軟な著作権の例外が誕生したのです。文化庁は、これをデータ分析と AI 開発について世界でも屈指の寛容な制度の一つに数えています。
英語圏の記事の多くは、第30条の4を AI 学習だけの話として説明しがちですが、それでは射程を取り違えています。この条文がはっきり対象にしているのは「情報解析」——つまりデータの抽出、比較、分類、その他の統計的な分析です。ビジネス向けスクレイパーが日々やっていること、そのものなのです。
第30条の4は実際に何を定めているのか(平易な英語で)
第30条の4は、著作物に表れた思想または感情を「自己又は他人において享受することを目的としない場合」に、その著作物の利用を認めています。実務に落とすと、満たすべき条件は2つです。
-
「享受」テスト。 創作的な中身を味わったり再公開したりするのではなく、価格・日付・面積・在庫数といった事実データを取り出しているなら、適法な側に立てます。文化庁の2024年AI・著作権ガイダンスでも、非享受の利用にはデータ分析、分類、インデックス作成が含まれるとされています。
-
「不当に害する」テスト。 スクレイピングが元の著作物の代わりになったり、著作権者の市場を侵食したりしてはいけません。たとえば購入を避けるために有料の分析用データセットをスクレイピングするなら、目的が分析であっても、この条件をクリアできない可能性があります。

第30条の4における現実のスクレイピング事例
ここからが実務の話です。この条文の射程は、AI 学習をはるかに超えて広がっています。
| ユースケース | 第30条の4は適用される? | 理由 |
|---|---|---|
| 不動産掲載情報をスクレイピングして市場価格分析を行う | ✅ はい | 価格、面積、築年数は情報解析のための事実データであり、表現の享受ではないため |
| 取引所サイトから株式データをスクレイピングする | ✅ はい | 統計分析目的 |
| 競合のECサイト向けに商品画像をスクレイピングする | ❌ いいえ | 表現そのものを利用しているため |
| ニュース記事をスクレイピングして再公開する | ❌ いいえ | 元の著作物の代替になるため |
| 価格監視のために商品説明をスクレイピングする | ✅ おそらくはい | 表現を享受するのではなく、事実データを抽出しているため |
| スクレイピングした文書でRAGシステムを構築する | ⚠️ 場合による | ベクトル化は非享受利用になり得ますが、保護された一節を出力する場合は追加検討が必要です |
もう一点、押さえておきたいのが第47条の5です。これはコンピュータによる情報処理に付随する「軽微利用」を、より限定的に保護します。検索結果に出る短い断片やサムネイルを思い浮かべるとよいでしょう。スクレイピングの主たる安全地帯というわけではありませんが、検索や分析サービスに必要な準備的な複製を支えることがあります。文化庁の2019年解説では、「軽微」かどうかを割合・量・表示の正確さで判断しています。
つまるところ、創作表現を再公開するのではなく、分析のために事実を取り出すのであれば、日本の著作権制度はあなたの味方になってくれる、ということです。
日本の不正アクセス禁止法(UCAL):スクレイピングが一線を越えるとき
この法律をスクレイピングの文脈で取り上げている英語記事は、ほとんど見当たりません。けれども日本法の中では、おそらく最もくっきりとした境界線を引いてくれる存在です。
不正アクセス禁止法(不正アクセス行為の禁止等に関する法律、1999年法律第128号)は、米国の CFAA に相当する、日本の実務上の中心的な法律です。認証手段で守られたコンピュータへの無権限アクセスを犯罪とし、第11条の罰則は3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金にまで及びます。
ここが肝心ですが、UCAL は公開 Web ページのスクレイピングそのものを禁止していません。この法律が顔を出すのは、ログイン画面、パスワード、アクセス・トークンといった認証を迂回したり回避したりしたときだけです。この線引きが、すべてを決めます。
典型的なスクレイピング場面におけるUCALのリスクレベル
| シナリオ | UCALリスクレベル | 説明 |
|---|---|---|
| 公開商品一覧をスクレイピングする | ✅ 低い | 認証の迂回を伴わないため |
| 自分の認証情報でログイン後のページをスクレイピングする | ⚠️ 中程度 — 利用規約による | 認証情報が自分のものであればUCALは適用されない可能性がありますが、利用規約と契約上のリスクは残ります |
| 認証やCAPTCHAを回避してデータにアクセスする | ❌ 高い — 違反の可能性大 | 第2条第4項第2号がアクセス制限の回避を対象としています |
| 権限のない限定APIにアクセスする | ❌ 高い — 違反の可能性大 | 認証付きまたはパートナー限定APIはUCALのど真ん中です |
| 他人の認証情報やセッショントークンを使う | ❌ 高い — 違反の可能性大 | 第2条第4項第1号が他人の識別符号の使用を直接対象としています |
警察庁は2024年にUCAL違反の摘発件数563件を公表しており、前年から8.1%の増加でした。このうち511件(90.8%)は、他人の識別符号の無断使用です。執行の重心は圧倒的に認証情報の不正使用にあって、ふつうの公開スクレイピングではない、ということがよく分かります。
UCALと米国CFAAの違い
UCAL は、実質的には CFAA より狭い法律です。あくまで焦点は認証の回避にあります。一方、CFAA の「認可を超えるアクセス」という文言は、米国の裁判所で何十年にもわたって争われてきました。米連邦最高裁のVan Buren判決以降、サイトの利用規約に違反しただけでは、CFAA 上の刑事責任に直結しにくくなっています。日本でも、実務的な結論は似た形に落ち着きます。利用規約違反は契約の問題であって、独立したアクセス制御の回避がない限り、UCAL 上の刑事問題にはなりません。
APPI 2022年改正:個人データについてスクレイパーが知っておくべきこと
日本の個人情報の保護に関する法律(APPI)は、この国の主要なデータ保護法です。そして2022年改正によって、ルールはぐっと厳しくなりました。日本のサイトから氏名、メールアドレス、電話番号、あるいは生存する個人を特定できるデータをスクレイピングするなら、APPI が効いてきます。
実務で問われるのは、どの時点からスクレイピングが APPI 対応を要するのか、という点です。
APPI上の「個人情報」とは何か
APPI第2条は、個人情報を、他の情報と容易に照合できる場合も含めて、特定の生存する個人を識別できるデータと定義しています。個人情報保護委員会(PPC)のQ&Aでは、firstname.lastname@company.jp のような業務用メールアドレスでも、特定の人物を識別できるなら個人情報になり得ること、そして Cookie ID も、識別を可能にする他のデータと結びつけば個人情報になり得ることが確認されています。
2022年改正では、新たに**「個人関連情報」**という区分が設けられました。単独では個人を直接識別できないけれど、他の情報と組み合わせると識別可能になり得るデータ(Cookie ID、閲覧履歴、購買履歴など)を指します。スクレイピングで見落としてはいけないのは、スクレイパー側には匿名に見えるデータでも、受け手が CRM や広告技術のデータと突き合わせた瞬間に識別可能になり得る、という点です。
越境移転の制限
日本国外から日本のサイトをスクレイピングして個人データを集める場合、そのデータを海外へ移す前に、APPI第28条に基づく検討が要ります。PPCの外国移転ガイドラインが示す主なルートは3つ。受領者が PPC 指定の同等国にいる場合、受領者が同等の保護措置を整えている場合、または第27条第1項の例外があてはまる場合です。
米国、EU、シンガポールの企業が日本のサイトから個人データをスクレイピングし、日本の外に保存するなら、APPI の越境移転分析は避けて通れません。国際チームがよく見落とす落とし穴です。
オプトアウト型第三者提供(第27条)
フォーラムでいちばん多く見かける問いは、「日本のサイトからスクレイピングしたデータを、共有したり売ったりしたらどうなるのか?」というものです。
APPI第27条は、原則として第三者提供に本人の事前同意を求めます。形式的なオプトアウト制度も用意されてはいますが、個人情報保護委員会への届出、本人への通知、そして第三者提供を止められる仕組みが必要です。2022年改正でこの制度はさらに狭まり、不正に取得した個人データや、他の事業者からオプトアウト提供で受け取った個人データには使えなくなりました。
PPCの2024年度年次報告書によれば、2021年10月以降に受理されたオプトアウト届出は合計405件、うち2024年度は93件でした。制度は確かにありますが、気軽に使うものではなく、れっきとした正式手続きです。
どのような場合にスクレイピングはAPPIに当たらないのか
生存する個人を識別できないデータには、APPI は適用されません。APPI のリスクが比較的低い項目には、たとえば次のようなものがあります。
- 商品価格、SKU、在庫数、送料
- 営業時間や一般的な会社の連絡先(info@company.jp など)
- 物件価格、面積、築年数、駅からの距離。ただし名義人や担当者名と結びつかない場合
- 個別の対応関係を排除した、集計済みの市場統計
実務上、ひとつ知っておきたい設計の工夫があります。Thunderbitの AI 項目提案を使えば、抽出するデータ列をユーザーがピンポイントで指定できます。必要なビジネス事実だけに絞り、個人データの項目を意図的に外せるので、APPI リスクを偶然任せではなく設計で下げられるのです。
不正競争防止法(UCPA):競合データのスクレイピング

スクレイピングの対象が、公開情報から機密の事業情報や制限付きのデータセットへと移っていくとき、不正競争防止法が問題になってきます。
UCPA は営業秘密を、(1)秘密として管理され、(2)事業に有用で、(3)公然と知られていない情報、と定義しています。経済産業省は、これを営業秘密保護の3要件としてまとめています。
公開サイトに載っている情報——商品価格、店舗の所在地、求人情報、商品カタログ——は、ふつう秘密でも非公知でもないので、営業秘密にはあたりません。ですから、これらをスクレイピングしても通常は UCPA 違反になりません。
どんなときにUCPAがスクレイピングに適用されうるか
| シナリオ | UCPAリスク | 理由 |
|---|---|---|
| 競合の公開商品カタログを価格監視のためにスクレイピングする | 通常は低い | 公開カタログの事実は一般に秘密ではないため |
| APIの脆弱性を突いて社内価格データをスクレイピングする | 高い | 不正な手段で取得した非公開の有用な事業情報のため |
| 有料のパートナー限定データベースやライセンスAPIを範囲外でスクレイピングする | 高い | 2018年改正で「限定アクセス共有データ」が保護対象になったため |
| 高額なデータベースにただ乗りする競合製品を作るためにスクレイピングデータを使う | グレー | 裁判所はアクセス制限、投資、代替関係を評価する可能性があります |
2018年の UCPA 改正では、**「限定アクセス共有データ」**への保護が加わりました。これは、相当程度蓄積され、電子的に管理され、特定の者に対して反復継続的に提供される技術情報または営業情報を指します。ただし UCPA第19条は、無償で公表された情報と実質的に同一のデータを除いています。つまり、無料の公開商品一覧と、会員限定の商用データセットは、別物として扱われるのです。
サーバー過負荷と日本の刑法:サイトを落とさないこと
データを集めること自体は、まったく合法であるケースが少なくありません。ところが、どのようにスクレイピングするか次第で、刑事リスクが顔を出します。日本の刑法には、自動アクセスがサイトや業務システムの運用を妨げた場合に適用される、業務妨害関連の規定が置かれています。
| 刑法の条文 | 行為 | 罰則 |
|---|---|---|
| 第233条 | 偽計による業務妨害 | 3年以下または50万円以下 |
| 第234条 | 威力による業務妨害 | 第233条と同じ |
| 第234条の2 | コンピュータを損壊・干渉して行う業務妨害 | 5年以下または100万円以下 |
日本のスクレイピング論議は、たどっていくと結局岡崎市立中央図書館事件(2010年ごろ)に行き着きます。あるソフトウェアエンジニアが、図書館サイトから新刊情報を集めるクローラーを作り、2週間で約33,000回もの自動アクセスを発生させました。図書館のサーバーは使いづらい状態に陥り、警察はその利用者を業務妨害の疑いで逮捕したのです。この事件は実体的な判断にまで至って終わったわけではありませんが、たとえデータ自体が公開情報でも、サーバーへの影響こそが鍵になることを、強く印象づける事例として今も語り継がれています。
サイト運営者が身構える理由については、Thales/Impervaの報告が、2024年の Web トラフィックの51%が自動ボットで、そのうち悪性ボットが37%だったと伝えています。Akamaiの調査でも、全 Web トラフィックの42%がボットで、とりわけ EC への影響が大きいと示されています。
サーバー過負荷を避けるには
- robots.txtを尊重する(法令ではありませんが、運営者の意思を示す証拠になります)
- リクエスト間隔を空け、同時接続数を抑える
- 対象サイトのピーク時間を避ける
- エラー、ブロック、レート制限応答が出たら停止または減速する
- 同じURLに何度もアクセスせず、取得済みページをキャッシュする
Thunderbit のクラウドスクレイピングは、リクエストを複数のサーバーに分散します。そのぶん負荷が自然にばらけるので、特定の対象サーバーを一気に圧迫するリスクが下がります。法的な免罪符ではありませんが、責任あるスクレイピングに沿った、地に足のついた設計です。
利用規約違反:刑事リスクではなく契約リスク
日本のサイトの多くは、利用規約でスクレイピングや自動データ収集を禁じています。日本法では、利用規約違反は契約上の問題であって、刑事犯罪ではありません。
経済産業省の電子商取引に関する解釈指針は、サイトの規約は取引契約にきちんと組み込まれていれば拘束力を持つ、と説明しています。「同意する」をクリックさせるクリックラップ型の合意が、最も強力です。逆に、目立たないフッターリンクの奥に埋もれた規約は、弱くなります。
| 利用規約の設計 | 執行可能性の目安 |
|---|---|
| 「同意する」ボタンが必要な明確なクリックラップ | 最も強い |
| 取引の近くにリンクはあるが、同意クリックは不要 | やや不明確 |
| フッターなど見つけにくい場所に隠れている | 弱い |
| 運営者との契約関係がない | 契約上の請求は弱い可能性がある |
利用規約違反だけで日本の刑事責任にまで引き上げられる、と示す信頼できる権威は、私には見つけられませんでした。実務上、利用規約違反は民事の契約リスク(損害賠償、差止め)を生み得ますが、刑事リスクには通常、別の独立した要素——UCAL によるアクセス制御の回避、刑法による業務妨害、あるいは著作権侵害——が必要になります。
私の助言はシンプルです。日本のサイトをスクレイピングする前に、必ず利用規約を確認すること。スクレイピングを明確に禁じているなら、API、データ提携、あるいは同じ情報を得る別の道を探しましょう。
日本と米国とEU:ウェブスクレイピング法の比較
米国法や EU 法の土地勘がある方なら、この表が全体像をつかむ助けになるはずです。日本の制度は、ある面ではより寛容で、別の面ではより厳格です。
| 法的観点 | 日本 | 米国 | EU |
|---|---|---|---|
| 中核となるスクレイピング法 | 単一法なし。著作権法、APPI、UCPA、UCAL、刑法の組み合わせ | CFAA、州法 | GDPR、データベース指令、DSM指令 |
| データ分析の著作権例外 | 第30条の4(広い) | フェアユース(個別判断) | TDM例外(DSM指令第3〜4条)— 商用TDMにはオプトアウトあり |
| 個人データのスクレイピング | APPI — オプトアウト型第三者提供(第27条) | 州ごとに異なる(CCPAなど) | GDPR — 厳格な同意/正当利益 |
| アクセス制御の迂回 | UCAL — 刑事犯罪 | CFAA — 刑事+民事 | 加盟国ごとに異なる |
| 利用規約違反 = 違法? | 契約法のみ。刑事責任は確認されず | Van Buren判決後のCFAA:おそらく否 | 場合による。GDPRは引き続き適用され得る |
| サーバー過負荷リスク | 刑法第233条、第234条の2(業務妨害) | CFAA + 不法干渉 | 場合による |
比較から見える重要ポイント
日本の第30条の4は、米国のフェアユースや EU の TDM 例外よりも射程が広く、著作権の観点では、日本を分析目的のスクレイピングにかなり寛容な国の一つにしています。UCAL は認証回避だけに焦点を絞るので、CFAA より狭い。APPI の越境移転ルールは、分断された米国のプライバシー制度より厳格ですが、運用の細部では GDPR ほど細かく書き込んでいない面もあります。
国際チームから見ると、公開された日本のデータを分析目的でスクレイピングできる余地は、思っているより広いかもしれません。複雑さが一気に増すのは、やはり個人データの扱い——とりわけ越境移転と第三者提供のところです。
日本のWebサイトをスクレイピングするための10項目コンプライアンスチェックリスト
日本のサイトをスクレイピングし始める前に、次の10の問いを上から順に確かめてください。それぞれが、先ほどの5つの法令のどれかに対応しています。
- データは一般公開されていますか?(ログイン不要、ペイウォールなし、アクセス制御の迂回なし)→ はいなら、UCALリスクは低いです。
- Webサイトの利用規約でスクレイピングは禁止されていますか? → はいなら、契約リスクを評価し、別のデータソースを検討してください。
- APPIで定義される個人情報を収集しますか?(氏名、メール、電話番号、IDなど)→ はいなら、APPIへの対応が必要です。
- スクレイピングした個人データを日本国外へ移転しますか? → はいなら、APPI第28条の越境移転ルールに従ってください。
- スクレイピングデータを第三者と共有または販売する予定ですか? → はいなら、APPI第27条のオプトアウト手続きに従うか、同意を取得してください。
- そのデータは著作権で保護されていますか? → 情報解析のためのスクレイピング(創作表現の再公開ではない)であれば、第30条の4が適用される可能性が高いです。
- スクレイピングの行為が元の著作物の代替になりますか? → はいなら、第30条の4の保護は適用されない可能性が高いです。
- 認証、CAPTCHA、アクセス制御を迂回していますか? → はいならUCALリスクは高いので、法的助言なしに進めないでください。
- スクレイピング量がサーバー過負荷のリスクを生みますか? → はいなら、リクエストを抑制し、間隔を空け、分散スクレイピングを使ってください。
- 対象データは会社によって営業秘密として管理されていますか? → 非公開の専有データであれば、UCPAが適用される可能性があります。
すべての答えが、公開・事実ベース・非個人情報・レート制限対応・再公開なしの分析を指しているなら、かなり良い状態です。ひとつでも赤信号が灯ったら、着手する前に法的レビューを通しておきましょう。

Thunderbitが日本のWebサイトを適法にスクレイピングするのをどう支援するか
念のため先に言っておくと、Thunderbit はあくまでツールであって、法的助言ではありません。ただ、ここまで説明してきたコンプライアンスの原則に沿うように作られています。
- AI項目提案:Thunderbit の AI がページを読み取り、抽出すべきデータ列を的確に提案します。これにより、必要な非個人データ項目だけを意図的に定義でき、不要な個人データの収集を、偶発ではなく設計の段階で減らせます。
- クラウドスクレイピング:リクエストを複数のサーバーに分散し、特定の日本のサーバーに負荷が集まるリスクを自然に下げます。(組み込みのレート制限への配慮機能、と考えてください。)
- 無料のメール・電話番号抽出:日本のサイトから連絡先を集める必要があるなら、Thunderbitのメールエクストラクターと電話番号エクストラクターでワンクリック抽出できます。ただし、必ず上記の APPI ガイダンスとセットで運用してください。個人データの取得には、コンプライアンス義務の理解が欠かせません。
- Excel、Google Sheets、Airtable、Notionへエクスポート:スクレイピングしたデータを構造化し、そのまま分析用に出力できます。これは、第30条の4が守る「情報解析」という目的を後押しします。
- メンテナンス不要:Thunderbit の AI は毎回サイトを新しく読み取り、レイアウトの変更にも適応します。つまり、壊れたスクレイパーが失敗リクエストを延々と繰り返してサーバーを叩き続けるようなことがなく、岡崎図書館事件のようなサーバー負荷の問題を避けるための、実務的な手立てになります。
実際の Thunderbit の使い方が気になる方は、YouTubeチャンネルかクイックスタートガイドをどうぞ。Chrome拡張機能から無料で試せます。
実践ユースケースの例
| ユースケース | 抽出を推奨する項目 | 法的根拠 |
|---|---|---|
| 日本のEC価格監視 | 商品名、掲載価格、在庫状況、販売者、SKU、URL、タイムスタンプ | 事実ベースの事業データ。第30条の4の情報解析に該当。商品画像やレビューを再公開目的でコピーしないこと |
| 日本の不動産市場分析 | 価格、所在地エリア、床面積、築年数、物件種別、最寄駅、URL、タイムスタンプ | 集計市場分析を支援。APPI対応がある場合を除き、担当者名、電話番号、所有者名は除外 |
| B2B業務モニタリング | 会社名、支店住所、一般的な会社メール、営業時間、サービス分類 | 生存する個人を識別しないならAPPIリスクは低い。利用規約とレート制限を確認 |
日本でのウェブスクレイピングの適法性に関する重要ポイント
日本では、ウェブスクレイピングは多くの場合に合法です。とりわけ、公開された非個人の事実データを分析目的でスクレイピングするケースがそうです。ただし、「多くの場合」は「すべての場合」ではありません。
- 著作権法(第30条の4): 公開データの分析目的スクレイピングは認められます。創作表現の再公開は認められません。
- UCAL: 認証やアクセス制御を迂回しないでください。
- APPI: 個人データは慎重に扱い、特に越境移転と第三者提供に注意してください。
- UCPA: 公開データは通常営業秘密ではありませんが、制限付きまたは有料データはリスクが高いです。
- 刑法: サーバーを落とさないでください。
スクレイピング案件に着手する前に、10項目のチェックリストを通してください。判断に迷うとき、とくに個人データやアクセス制限のあるコンテンツが絡む案件では、法律の専門家に相談しましょう。
日本のサイトを適法にスクレイピングし始める準備が整っているなら、Thunderbitは非エンジニアでも扱いやすいように設計されています。抽出する項目を決め、データを取得し、使いたいツールへ出力して、あとは分析に集中するだけです。
日本のWebサイト向けAIウェブスクレイパーを試す Get Started Free
よくある質問
日本の公開Webサイトをスクレイピングするのは合法ですか?
おおむね、はいです。情報解析のために公開データをスクレイピングする行為は、サーバーを過負荷にせず、アクセス制御を迂回せず、APPI に従わずに個人データを取らず、著作権で守られた表現を再公開しない限り、日本の著作権法第30条の4のもとで通常は合法です。分かれ目になるのは目的です。再公開ではなく、分析であること。それが効いてきます。
日本のWebサイトから個人データ(メールアドレス、電話番号)をスクレイピングできますか?
できますが、APPI が適用されます。適法な目的が必要で、データの使い道を明示し、越境移転や第三者提供には制限がかかります。2022年改正でこれらのルールはかなり厳しくなりました。とくに日本国外へ出ていくデータや、他社と共有するデータが対象です。
日本のWebサイトの利用規約でスクレイピングが禁止されていたらどうなりますか?
利用規約違反は契約上の問題で(損害賠償や差止めの可能性はあります)、刑事犯罪ではありません。ただ、より広い法的請求の足がかりになったり、執行リスクを高めたりすることはあります。スクレイピングの前には必ず利用規約に目を通し、別の手段で同じデータが得られないか検討してください。
ログイン壁の向こう側をスクレイピングするのは日本で合法ですか?
自分の認証情報を使う場合は、グレーゾーンです。UCAL が直接は適用されない可能性はありますが、利用規約違反と契約リスクは残ります。認証を迂回する、他人の認証情報を使う、アクセス制御を回避する——こうした行為は不正アクセス禁止法違反として刑事罰の対象になる可能性が高く、3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科されることがあります。
日本のWebサイトからスクレイピングしたデータを販売できますか?
データに個人情報が含まれるなら、APPI 第27条のオプトアウト型第三者提供の手続きを踏む必要があります。これには正式な PPC 届出、本人への通知、オプトアウト機構が求められます。適切な手続きを欠いたまま個人データを売るのは、コンプライアンス違反です。個人情報を含まない事実ベースの集計なら APPI リスクは低いものの、著作権、UCPA、利用規約、そしてウェブスクレイピングの法的含意は引き続き効いてきます。
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