SalesforceのState of Sales 2026によれば、営業担当が商談に使える時間は全体の40%。残りはデータ入力、調査、フォローアップ対応に消えています。同レポートでは、AIを業務に組み込んだチームの**83%が売上増を達成した一方、未導入チームは66%**にとどまると報告されています。
営業自動化を検討する際に重要なのは、単にツールを増やすことではなく、どの反復作業を減らし、どの判断を人に残すかを明確にすることです。この記事では、リード獲得、CRM運用、アウトバウンド、エンタープライズ向けオーケストレーションという用途別に、2026年の候補となる10ツールを比較します。
なお、Webや外部サービスからデータを取得する機能を使う場合は、対象サイトの利用規約、個人情報や著作権の取り扱い、アクセス頻度を事前に確認してください。また、各製品の価格や機能は変更される可能性があるため、導入前に公式情報での確認が必要です。
営業自動化ツールが求められる背景
営業自動化の本質は「活動量を増やすこと」ではありません。受注までの導線から、摩擦を1つでも多く取り除くことです。
- リード獲得と振り分け: 新しいリードを受信箱やシートで放置せず、すぐ担当者に渡せます。
- フォローアップの継続: シーケンスとリマインダーで、連絡漏れや案件停滞を防げます。
- CRMデータの品質: 自動入力・同期でデータ整備の手間を抑えられます。
- 判断のスピード: AIやレポートがあれば、次のアクションを素早く選べます。
SalesforceのSales AIページでは、AI導入で会議準備が33%短縮、管理業務が32%削減、受注率が10%改善したと紹介されています。自動化ツールの役割は営業を置き換えることではなく、営業が商談に集中できるよう雑務を引き受けることです。

各ツールの比較に入る前に、営業自動化の全体像をざっと掴みたい方はこちらのHubSpot公式解説動画をどうぞ。
評価基準
本記事では、営業自動化ツールを次の観点で確認しました。ただし、リード獲得、CRM、アウトバウンド実行、ライフサイクル管理では主目的が異なるため、全製品を単一の総合点で比較するのではなく、用途ごとの適合性を重視しています。
- 導入のしやすさ: 小規模チームでも初期設定と検証を進めやすいか。
- 自動化の深さ: リード取得、アプローチ、パイプライン、データ同期のうち、対象業務をどこまで自動化できるか。
- 連携性: CRM、メール、カレンダーなど、現在利用しているツールと接続できるか。
- 拡張性: チームや処理量の増加に合わせて、権限、ワークフロー、管理方法を拡張できるか。
- 価格の明確さ: 開始価格、課金単位、年払い条件、追加機能の費用を確認しやすいか。
- 用途の的確さ: 自社のボトルネックに対して、必要な機能を過不足なく提供できるか。
まず必須の用途と連携先で候補を絞り、その後に費用、運用負荷、試用時の結果を比較すると判断しやすくなります。
1. Thunderbit

Thunderbitは、Webページ上の情報を構造化されたリードデータとして整理したい場面に向いています。ディレクトリ、マーケットプレイス、Googleマップ、LinkedIn風の掲載ページなどからリードを手作業でコピーしている場合、スクレイパーを自作せずにデータ取得を試せます。
主な特徴はAI項目提案です。ページ構造を読み取り、抽出する列の候補を提示するため、必要な項目を確認・調整してから構造化データを取得できます。営業用途ではサブページスクレイピングを使い、一覧ページから詳細ページの追加情報を補完する方法もあります。
最適な用途: CRMだけではカバーしきれないWeb上の情報から、営業リストを作成・補完したいチーム。対象ページとの相性があるため、まず少量のデータで抽出精度と出力形式を確認するのが現実的です。
料金: 無料プランあり。有料は月額15ドルから。
連携: Excel、Google スプレッドシート、Airtable、Notion、クラウドスクレイピング。
Webデータを扱う際は、対象サイトの利用規約、個人情報、著作権、アクセス頻度も確認してください。
2. HubSpot Sales Hub

HubSpot Sales Hubは、CRM・シーケンス・パイプライン管理・レポート・AI支援をひとつにまとめたいチームに向いています。営業とマーケが分断されたツールを行き来するのではなく、1つの情報源を共有できる点が強みです。
商談管理、自動化ルール、ラウンドロビン割り当て、メールシーケンス、フォーキャストまで、重たい導入コストなしに使えます。
最適な用途: CRM中心の営業自動化を1プラットフォームで回したいSMB〜ミッドマーケット。
料金: 無料ツールあり。Sales Hub Starterは1席あたり月額20ドルから。
連携: HubSpotエコシステム、Gmail、Outlook、Slack、Zapier、ほか多数。
3. Salesforce Account Engagement

Salesforce Account Engagementは、購買サイクルが長く、リードスコアリングやマーケ→営業の引き渡しが複雑なB2Bチーム向けの定番です。旧称Pardotの名前で知られていますが、いまはSalesforceエコシステムの中でライフサイクル全体を管理する製品として位置づけられています。
ナーチャーフロー、スコアリング、セグメンテーション、アトリビューション。最もシンプルな製品ではありませんが、構造化されたB2B需要創出では最も成熟した選択肢のひとつです。
最適な用途: Salesforce環境で複雑なファネルを運用するB2Bチーム。
料金: Account Engagement Growthは月額1,250ドルから。
連携: Salesforce CRM、ウェビナープラットフォーム、広告システム、エンタープライズ向けマーテックスタック。
4. Outreach

Outreachは、アウトバウンド実行に振り切った製品です。メール・通話・フォローアップを横断して、見込み開拓を自動化しつつ、どのアクションがパイプラインを動かしたかを可視化できます。
支持されている理由は、シーケンス機能だけではありません。Cadence制御、活動オーケストレーション、分析、営業担当の行動規律が一体化しているからです。SDRやBDRチームにとっては、CRM自動化だけでは補えない運用基盤になります。
最適な用途: 構造化されたシーケンスと実行管理が必要な専任アウトバウンドチーム。
料金: 要問い合わせ。
連携: Salesforce、Microsoft Dynamics、メール/カレンダー、LinkedInワークフロー、RevOpsツール。
5. Pipedrive

Pipedriveは、複雑さを排して視覚的に商談を管理したいチームに向いています。エンタープライズ級のオーケストレーションには及びませんが、リマインダー、ステージ変更、タスク生成、AI提案など、小規模チームが実務で助かる機能はしっかり揃っています。
パイプラインの可視化と再現性のあるフォローアップが大事で、マルチシステム連携は不要、というケースで最もフィットします。
最適な用途: すっきりしたCRMと実用的な自動化が欲しい小規模〜成長チーム。
料金: Essentialは年払いで1席あたり月額約14ドル。
連携: Google Workspace、Outlook、Zapier、電話連携、レポート拡張。
6. Zoho CRM

Zoho CRMの強みは、比較的安い導入コストで高い自動化の柔軟性を確保できる点です。ワークフロールール、リード割り当て、スコアリング、マクロ、承認フロー、Ziaアシスタント。標準テンプレートに縛られず、自社プロセスに合わせて設計したい企業に向きます。
派手さはありませんが、エンタープライズ価格を払わずに広い自動化が欲しいチームには最もコスパの良い選択肢になりえます。
最適な用途: 予算を抑えつつ、独自プロセスの制御と広い自動化範囲が必要なチーム。
料金: 3ユーザーまで無料。Standardは年払いで1ユーザーあたり月額14ドルから。
連携: Zohoスイート、Google Workspace、Microsoft、電話システム、マーケティング/サポートアプリ。
7. Freshsales

Freshsalesは、CRM自動化とコミュニケーション機能を1つの製品にまとめている点が特徴です。通話、メール、チャット、Freddy AIが営業プロセスの中核に組み込まれていて、複数のポイントツールを継ぎはぎする必要がありません。
CRMの実行機能をまとめて導入したい一方で、大がかりなツール構成は避けたいスタートアップやSMBに向いています。
最適な用途: CRM、通話、チャット、AI支援を1つにまとめたいSMB。
料金: Growthは年払いで1ユーザーあたり月額9ドルから。
連携: Freshworksスイート、Gmail、Outlook、WhatsApp、Zapier、電話システム。
8. ActiveCampaign

ActiveCampaignは、営業自動化とマーケティング自動化の接点で力を発揮します。ワークフロー自動化、CRM更新、行動トリガー、ライフサイクルメッセージングをひとつのシステムで扱えるため、単なるメールシーケンスツールとは一線を画します。
ナーチャーロジック、セグメント別フォローアップ、連絡先の行動シグナルに依存する営業プロセスなら、いまでもコスパの高い選択肢です。
最適な用途: 営業とマーケをまたいだライフサイクル自動化が必要なSMBやデジタルファーストのチーム。
料金: Starterプランは月額15ドルから。
連携: Shopify、WordPress、Salesforce、Slack、ECツール、豊富な連携先。
9. Salesloft

Salesloftは、Cadence自動化、会話分析、コーチング、再現性のある営業実行を求める組織向けのエンタープライズ級プラットフォームです。基本的なシーケンスツールでは対応しきれない規模のアウトバウンド組織やアカウントマネジメント組織にフィットします。
「メールを大量に送る」ためのツールではなく、複数担当者にまたがる営業活動を測定・改善するための仕組みです。
最適な用途: エンタープライズ水準のCadenceとコーチング体制が必要な大規模営業組織。
料金: 要問い合わせ。
連携: Salesforce、Microsoft Dynamics、メール、会話インテリジェンス、RevOpsツール。
10. Marketo Engage

Marketo Engageは、長いB2B購買ジャーニーをオーケストレーションするうえで最も成熟した製品のひとつです。マーケティング自動化として使うチームが多いですが、エンタープライズの営業自動化はリードスコアリング、ナーチャー、アトリビューション、CRMへの引き渡しに依存するため、この一覧に含めています。
CRMワークフローでは複雑すぎ、純粋なアウトバウンドツールでは部門横断が足りない — その中間領域でMarketoは真価を発揮します。
最適な用途: 長い購買プロセスと大規模な営業・マーケ運用を抱えるエンタープライズB2Bチーム。
料金: 要問い合わせ。
連携: Adobe Experience Cloud、Salesforce、ウェビナープラットフォーム、分析/キャンペーンシステム。
クイック比較表
| ツール | 主な自動化の強み | 開始価格 | 最適な用途 | トレードオフ |
|---|---|---|---|---|
| Thunderbit | AIによるWebデータ取得とリード抽出 | 無料; 有料は月額15ドルから | どんなWebサイトからでも柔軟にリードソースを集めたいチーム | フル機能のCRMではない |
| HubSpot Sales Hub | CRM自動化、シーケンス、パイプライン管理 | 無料ツールあり; Sales Hub Starterは1席あたり月額20ドルから | オールインワンの営業ハブが欲しいチーム | ハブや席を増やすとコストが上がりやすい |
| Salesforce Account Engagement | B2Bライフサイクル自動化とリードスコアリング | 月額1,250ドルから | Salesforce中心のB2Bチーム | 導入と管理の負担が重い |
| Outreach | アウトバウンドのシーケンスと担当者の実行管理 | 要問い合わせ | 構造化されたアウトバウンドを行うSDR/BDRチーム | 真価は高い担当者数で出やすい |
| Pipedrive | 軽量なパイプライン自動化 | 年払いで1席あたり月額約14ドル | 視覚的に使えるCRMが欲しい小規模チーム | 複雑なオーケストレーションには深さが足りない |
| Zoho CRM | 低コストでのカスタムワークフロー自動化 | 3ユーザーまで無料; Standardは1ユーザーあたり月額14ドルから | 独自プロセスを持つ、予算重視のチーム | UIや初期設定は高価格帯CRMほど洗練されていない |
| Freshsales | CRMに通話、チャット、AIを内蔵 | Growthは年払いで1ユーザーあたり月額9ドルから | コミュニケーションとCRMを一緒に使いたいSMB | 純粋なアウトバウンド特化ツールほど専門的ではない |
| ActiveCampaign | 営業とマーケティングをまたぐライフサイクル自動化 | Starterは月額15ドルから | ナーチャー重視のワークフローに依存するチーム | 従来型SDRの実行管理にはあまり特化していない |
| Salesloft | エンタープライズ向けCadenceとコーチングワークフロー | 要問い合わせ | 営業エンゲージメントに厳密さが必要な大規模組織 | 複雑さが高く、導入購買プロセスも企業向け |
| Marketo Engage | 長い購買ジャーニー全体のエンタープライズオーケストレーション | 要問い合わせ | 複雑なライフサイクル管理を行う大規模B2B組織 | 小規模チームには過剰 |
自動化ツールで効率が上がる仕組み
自動化ツールは、導入数を増やすだけでは成果につながりません。効果を確認しやすいのは、データや担当業務の引き継ぎで発生している手作業を減らせた場合です。
- リードソースからCRMへ
- CRMからフォローアップシーケンスへ
- シーケンスから会議ワークフローへ
- 会議結果からパイプライン更新へ
- パイプラインデータからレポートと優先順位付けへ
そのため、ツール構成は処理対象と責任範囲を明確にして設計する必要があります。軽量な構成は導入しやすい一方、ツールが増えるほど、権限管理、データ同期、障害対応、運用ルールが複雑になります。

軽量なCRMワークフローの動きを手早く確認したい方は、Pipedrive公式デモが参考になります。
どのツールから始めるべきか
最初に、自社で最も工数や機会損失が大きいボトルネックを特定し、用途ごとに候補を絞ります。
- リードの発見と補完が課題なら、Thunderbitを候補にできます。
- CRM中心の業務基盤が必要なら、HubSpot、Pipedrive、Zoho CRM、Freshsalesを比較します。
- アウトバウンドの実行規律が最大の課題なら、OutreachかSalesloftが候補です。
- 長期のナーチャーと引き渡しが課題なら、Salesforce Account EngagementかMarketo Engageを検討します。
- 営業とマーケ両面のワークフロー自動化が必要なら、ActiveCampaignも候補に入ります。
この段階では1社に決め切らず、必須の連携先、利用人数、権限管理、予算で候補を2〜3社に絞ると比較しやすくなります。

Webからのデータ収集が課題の場合は、Thunderbitのクイックスタート動画で設定の流れを確認できます。まずは実際に使うページを1つ選び、抽出精度、必要な列、出力形式を確認してから運用範囲を広げてください。
購入前に確認すべきポイント
データ品質、セキュリティ、アクセス制御が要件に合わないと、営業自動化の運用は定着しにくくなります。契約前には、資料上の表記だけでなく、ベンダーの文書、デモ、試用環境で次の点を確認してください。
- セキュリティ体制: SOC 2、GDPR対応、ロールベース権限、監査ログについて、対象プラン、適用範囲、最新の証明資料を確認する。
- 連携の実態: 「Zapier対応」だけで判断せず、必要なCRMとの同期方向、更新頻度、重複処理、エラー時の復旧方法を確認する。
- データの持ち出し: 契約終了時も含め、エクスポートできる項目、活動履歴、レポート、保存期間を確認する。
- 個人情報と利用条件: 外部データや連絡先を扱う場合は、取得元の利用規約、本人への通知、社内の利用目的、保管・削除ルールを確認する。
- 管理コスト: 初期設定だけでなく、権限管理、ワークフロー変更、データ整備、担当者教育に必要な工数を見積もる。
- ワークフローとの適合: 現在のボトルネックを対象に小規模な試用を行い、精度、処理時間、担当者の操作負荷を確認する。
認証や法令名への対応表記だけで適合性を判断せず、自社のデータ、地域、利用目的に対して必要な条件を社内の担当部門と確認することが重要です。
まとめ
営業自動化は、営業担当を置き換えるためのものではなく、営業を遅らせている反復作業を減らすためのものです。候補は、リード獲得、CRM運用、アウトバウンド実行、長期的なライフサイクル管理のうち、どこにボトルネックがあるかによって変わります。
リードデータの収集と構造化が課題なら、Thunderbitが候補になります。パイプライン運用ではHubSpot、Pipedrive、Freshsales、アウトバウンド実行ではOutreachとSalesloft、長期B2Bライフサイクル管理ではSalesforce Account EngagementとMarketo Engageを比較できます。
Webデータ収集から検証する場合は、まず対象ページを1つ選び、必要な列を取得できるか、抽出結果を確認しやすいか、希望する形式で出力できるかを試してください。結果が要件に合うことを確認してから、対象ページや利用メンバーを増やすと導入判断がしやすくなります。
よくある質問
1. 営業自動化ツールとは何ですか?
リード獲得、フォローアップ、CRM更新、レポート、振り分け、ライフサイクル管理などの手作業を減らし、営業担当が商談に集中しやすくするためのツールです。自動化する範囲と、人が確認・判断する範囲を分けて運用します。
2. 小規模チームに最適な営業自動化ツールはどれですか?
ボトルネックによって候補は変わります。軽量なCRM自動化ならPipedriveやFreshsales、Webからのリード収集ならThunderbitが候補になります。利用人数、必要な連携、予算を確認し、小規模な試用結果で比較してください。
3. アウトバウンド営業自動化に最適なツールはどれですか?
専任のアウトバウンドチームで構造化されたシーケンスと分析が必要なら、OutreachとSalesloftが候補です。担当者数、管理方法、CRM連携、導入支援の条件を比較する必要があります。
4. 複数の営業自動化ツールを併用できますか?
はい。たとえば、Thunderbitのようなリード獲得ツールと、HubSpotやPipedriveなどのCRM、Outreachなどのアウトバウンドプラットフォームを組み合わせる構成が考えられます。ただし、重複データ、同期エラー、権限管理、個人情報の取り扱いについて、システム間の責任範囲を決めておくことが重要です。
5. 買いすぎを防ぐにはどうすればいいですか?
現在の営業プロセスで最も工数や機会損失が大きいボトルネックを1つ選び、必要な機能、連携先、利用人数を明確にします。候補を2〜3製品に絞り、実データを使った試用で精度と運用負荷を確認してから契約範囲を決めると、過剰導入を避けやすくなります。
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