レポート | スタートアップ採用ではリモートワークはまだ健在

最終更新日:May 29, 2026

エグゼクティブサマリー

本調査では、2025年5月と2026年5月の Hacker News「Ask HN: Who is hiring?」スレッドを比べ、開発職の採用チャネルの中で、フルリモート、ハイブリッド、出社型の働き方がどう変わったかを分析しました。対象となるトップレベルの採用投稿は、合計619件です。

いちばん重要な結果は、Hacker News の採用コミュニティでは、フルリモートが今でも最大の働き方ラベルだということです。2026年5月は、分類済み投稿の46.3%がフルリモートでした(不明を除く)。これは2025年5月の48.1%から1.8ポイント下がったものの、崩壊とまでは言えません。

ハイブリッドは22.5%から26.1%へと3.6ポイント伸び、出社型は29.4%から27.7%へと減りました。見えてくるのは、一斉出社への揺り戻しというより、働き方の両端からハイブリッドへじわじわ寄っていく流れです。

一方で、給与の明示は働き方よりずっと速いペースで進みました。給与情報を載せた投稿の割合は20.5%から27.4%へ増え、ビザ支援への言及はほぼ横ばいでした。採用や雇用主ブランディングの目線で見ると、技術職採用の文章が、報酬と運用モデルをよりはっきり書く方向に進んでいる、というのがより大きな話です。

共有しやすいポイント

  1. Hacker News の採用サンプルでは、フルリモートが今も最大の働き方:2026年5月の分類済み投稿の46.3%。
  2. フルリモートは前年比で1.8ポイントの微減にとどまり、48.1%から46.3%へ。
  3. ハイブリッドは22.5%から26.1%へ3.6ポイント上昇し、本レポートで最大の動き。
  4. 出社型も29.4%から27.7%へ下がっており、ハイブリッドはフルリモートと出社型の両方から伸びていると考えられる。
  5. 給与の明示は20.5%から27.4%へ上昇し、どの働き方区分よりも大きな動き。
  6. ビザ支援への言及は2.6%から2.8%へとほぼ変化なし。
  7. このサンプルは、米国労働市場全体ではなく、リモートに親和的な技術系採用チャネルを自選して集めたものです。

もしあなたが大企業の社内メモだけを見ているなら、2026年のリモートワークはもう決着済みに見えるかもしれません。大企業は人をオフィスに戻し、定例の出社週が復活し、完全分散型企業はパンデミック期の例外だった、という見方です。その見方が完全に間違っているわけではありませんが、全体像としては足りません。そこに映るのは有名な既存企業の方針であって、今も公の場でエンジニアを採用している小規模・中規模ソフトウェアチームの採用言語ではありません。

本レポートは、その静かな層に注目します。Hacker News の採用スレッドは完璧な労働市場サンプルではなく、国勢調査のように扱うべきものでもありません。ただ、あえてそこを使う理由があります。読者は専門用語やあいまいな表現に簡単にはうなずかないからです。ここに投稿する企業は、エンジニア、創業者、技術系オペレーターに直接語りかけています。だからこそ、そこで「フルリモート」「ハイブリッド」「出社型」と書けば、候補者はその言葉をそのまま受け取る前提であるはずです。

なので、この結果をブログ向けに言い換えるなら、こうなります。RTO(出社回帰)の波は確かにあるが、スタートアップ周辺の技術採用からリモート重視の採用を消し去ってはいない。変化は急転直下というより、ハイブリッドへのゆるやかな移行に近く、しかもオフィス方針の変化より給与の透明化のほうが速く進んでいます。

Amazon は週5出社を義務化し、Salesforce は「チーム合意」を導入し、Goldman Sachs は恒久的な週5出社を宣言しました。この18か月ほど、RTO(Return to Office)はほぼ毎月のようにニュースになり、大手企業が次々とリモート終了を打ち出してきました。そんな見出しだけを見れば、リモートワークという概念自体が終わりつつあるように見えるのも無理はありません。

ですが、その結論を別のデータでも確かめたかったのです。Hacker News では毎月1日に whoishiring アカウントが固定スレッド「Ask HN: Who is hiring?」を立てます。このスレッドの特徴は、上場企業のPRではないことです。エンジニア、スタートアップ創業者、小規模チームが自分たちで書く採用文です。月に数百件のコメントが並び、それぞれが1社の採用投稿です。今回は2025年5月と2026年5月のスレッドを取得し、合計619件の投稿を対象に、フルリモート/ハイブリッド/出社型の分布がどう変わったかを見ました。

結果は複雑ではありませんが、大企業のPRの流れとは一致しません。フルリモートは今も Hacker News 採用コミュニティで単独最大の働き方で、不明を除くと46.3%です。12か月前の48.1%から1.8ポイント下がっただけです。 下がってはいますが、消えたわけではありません。

一方で、ハイブリッドは3.6ポイント増加しました(不明を除くと22.5%から26.1%)。これはデータ全体でいちばんはっきりした動きです。ハイブリッドが伸びているのは、フルリモートからだけではありません。出社型からもシェアを取っています(出社型は-1.7ポイント)。つまり、移行は単純な「フルリモート→ハイブリッド」ではありません。両極がそろって中央に寄っているのです。

さらに、予想外だった数字があります。給与開示率は20.5%から27.4%へ、+6.9ポイント。データセット全体でいちばん速く動いた指標です。これに対して、ビザ支援の言及はほぼ動いていません(2.6%→2.8%)。片方が急上昇し、もう片方が横ばい——この差には、2つの違う仕組みがあります。給与開示は、州レベルの賃金透明性法によって押し上げられています(2023〜2025年に、カリフォルニア、コロラド、ニューヨーク、ワシントンが同種の法律を制定または強化)。そのため、Hacker News の採用文化もそれに合わせて動いています。一方、ビザ支援は H-1B 政策の影響を受けますが、2024〜2026年にかけてはむしろ厳格化しているため、言及率が横ばい〜やや抑え気味なのは実態と合っています。

これらをまとめると、データはひとつの話を示しています。Hacker News 採用コミュニティ内の RTO は革命ではなく、再均衡です。 フルリモートはなお優勢。ハイブリッドは静かに増加。出社型はゆっくり縮小。さらに採用市場全体では、給与の透明化が加速しています。以下で各層を詳しく見ていきます。


1. 現在の分布:フルリモートは依然として46.3%で首位

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2026-05 のスレッドでは、317件の採用コメントが次の分布になりました。

働き方投稿数全体に占める割合不明を除く割合
フルリモート14244.8%46.3%
ハイブリッド8025.2%26.1%
出社型8526.8%27.7%
不明103.2%

不明のカテゴリは3.2%です。ここには、冒頭段落でリモート/ハイブリッド/出社型を明示していないコメントが含まれます。たいていは、投稿者が独自のフォーマットを使っていたり、採用ページへのリンクだけを載せていたりするケースです。月次比較をきれいに保つため、以降の分析では不明を除く割合を使います。

不明を除くと、フルリモートは46.3%で引き続き単独最大です。ハイブリッドの26.1%の約1.8倍、出社型の27.7%の約1.7倍です。

この数字をどう読むべきでしょうか。Hacker News の採用コミュニティは、開発者、スタートアップ、初期のエンジニアチームが中心です。その中で投稿の約半数が今もはっきりフルリモートを掲げているのです。「リモートは死んだ」という話を受け入れるには、「リモートに親和的な先進的技術コミュニティ」とよく言われる領域の中で、なぜフルリモートが46%も残っているのかを説明しなければなりません。

一つの見方としては、Hacker News は全体市場を代表しておらず、より広い市場はすでにリモートを過去のものとしている、という考え方があります。その見方では、サンプルの境界を逃げ道として使っています。ただし、そこでは2点を認める必要があります。第一に、Hacker News は確かに一部のサンプルにすぎませんが、ソフトウェア採用の中では意味のある部分を覆っています。特に、小規模〜中規模企業、初期スタートアップ、LinkedIn Premium や Indeed のスポンサー枠にお金をかけられない独立系エンジニアが多く含まれます。第二に、このサンプル内でフルリモートが安定していること自体がシグナルです。つまり、「実際にリモート運用ができる企業」の集まりの中では、リモートはまったく死んでいません。

2. 12か月で何が変わったか:ハイブリッドが静かに3.6ポイント増

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2つのスレッドを不明除外で並べると、次の通りです。

働き方2025-052026-05変化
フルリモート48.1%46.3%-1.8 pt
ハイブリッド22.5%26.1%+3.6 pt
出社型29.4%27.7%-1.7 pt

ハイブリッドの+3.6ポイントが、データ中で最も大きな動きです。フルリモートは1.8ポイント減、出社型は1.7ポイント減。両極が少しずつ後退し、その分がハイブリッドに流れています。この移行パターンはかなり示唆的です。 もしハイブリッドの伸びがフルリモートからの切り替えだけなら、出社型は横ばいのはずです。ところが実際には、出社型もほぼ同じだけ低下しました。つまり、ハイブリッドは両端から同時にシェアを吸収しているのです。

この「両端が中央に寄る」動きは、大企業のPRが描く「リモートが出社型に変わる」という話とは別物です。Hacker News の採用データが示しているのは、むしろ働き方の再均衡です。リモート撤退でも出社回帰でもなく、中間のハイブリッドが両極からシェアを受け取り、定着していく姿です。

では、なぜ HN 圏ではハイブリッドが安定しているのでしょうか。仕組みの一つとして考えられるのは、Hacker News での投稿ハードルは LinkedIn より高いことです。HN アカウントが必要で、投稿は同業の目に公開され、盛ればすぐ突っ込まれます。そうした公開の査読フィルターのもとでは、「ハイブリッド(週3出社)」と書く企業は、たいていそれをしばらく運用しており、かなり具体的な実態があります。単なる流行語ではありません。だからこそ、ここでの26.1%というハイブリッド比率は、LinkedIn でよく見るようなふわっとした「Hybrid (Flexible)」ではなく、より実態のある“本物のハイブリッド”だと考えられます。

成長・採用の実務担当者にとって、この意味ははっきりしています。「ハイブリッドが新常態」という見方は、HN データでもある程度は支持されますが、ハイブリッドはまだ投稿の26%にすぎません。 自社の雇用主ブランドを「ハイブリッド企業」として打ち出しても、その訴求先市場は思ったより少し小さいかもしれません。フルリモートはまだ1.8倍大きいからです。

3. 今もフルリモート採用を出している企業

2026-05 のスレッドでフルリモート求人を載せた企業の一部、上位15社です。

順位企業フルリモート投稿数
1Doubling1
2Emergences Labs (emergences.ai)1
3CodeWeavers1
4OpenVPN Inc.1
5Amplify Renewables1
6IPinfo.io1
7In The Loop (intheloop.engineering)1
8Deep Core Technology1
9Loophole Labs1
10PostHog1
11Railway1
12Enveritas (YC S18, non-profit)1
13Form AI1
14PlantingSpace1
15SEEKING FREELANCER1

この一覧は、バズったクリエイターのトップ10みたいな形にはなりません。HN の採用投稿は、1社あたり月1件が基本なので、分布はかなり平らです。ただし、2026-05 にも今なおフルリモートを明示して投稿している企業があること自体が、このデータでは重要なシグナルです。これらの企業は、2024〜2026年の RTO の波の中でも、リモートにやさしい雇用主ブランドを保つことを選び、その方針を採用文に明記しています。

この一覧の中でも、PostHog は特に目を引きます。UK と米国のチームを持つオープンソースのプロダクト分析企業で、以前からリモートファーストです。2026年5月のスレッドに出ていることは、リモートファーストのスタートアップが RTO の波の中でもエンジニア候補者を引きつけられること、そして今もなおエンジニア向けチャネルとして HN を選んでいることを示しています。CodeWeavers(オープンソース Wine の企業)、IPinfo、Loophole Labs も同じく、技術主導の中堅企業で、開発者向けの顧客基盤を持ち、自然とリモートファーストに寄っています。

雇用主ブランディングの観点では、順位そのものより、この一覧が存在していることのほうが大事です。2026年でも「採用でフルリモートを公表する」ことは、依然として強いシグナルであり、リモートファースト文化を重視する候補者を引き寄せます。大手の RTO 路線に舵を切った既存企業では、もう出しにくい差別化です。

4. 給与開示 +6.9ポイント — レポート全体で最も動いた指標

2つの指標を並べてみます。

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指標2025-052026-05変化
給与を明示20.5%27.4%+6.9 pt
ビザ支援に言及2.6%2.8%+0.2 pt

給与開示は20.5%から27.4%へ一気に伸び、12か月で+6.9ポイントでした。これは本データセットでいちばん速い動きです。ハイブリッドの+3.6ポイントの約2倍のスピードです。主因は、米国の州レベルの賃金透明性法です。カリフォルニア州の SB 1162(2023年施行)、コロラド州の Equal Pay for Equal Work Act(2021〜2023年にかけて強化)、ニューヨーク州(2023年9月施行)、ワシントン州(2023年1月施行)などです。これらの法律は、一定規模以上の雇用主に対し、求人票に給与レンジの開示を求めます。コンプライアンスが始まると、複数州にまたがる雇用主はすべての求人で開示せざるを得なくなります。非開示だと、これらの州法に違反するためです。

Hacker News の採用文化は、もともと給与の透明性を好む傾向があります。それでも、1年で6.9ポイントも上がったのは、文化だけでは説明しにくく、ほぼ確実に規制対応です。

ビザ支援の言及はほぼ変わっていません(2.6%→2.8%)。この指標は、H-1B / TN / O-1 といった就労ビザ政策環境を反映します。2024〜2026年の米国では、技術職ビザに対する政策は緩和ではなく、むしろ厳格化しています。そのため、ビザ支援を安易に約束したくない企業が増え、言及率が横ばい〜わずか増にとどまるのは自然です。この点が裏付けになります。Hacker News における給与開示の増加は制度要因であり、ビザの横ばいも制度要因です。 どちらも、単なる文化的な好みの変化ではありません。

実務的には、雇用主ブランドで「透明性」を打ち出したいなら、ビザ政策より給与開示のほうが効果的です。賃金透明性法で開示は半ば義務化されているので、その要件を積極的な透明性として再定義すれば、ブランドとしての見返りがいちばん大きくなります。

5. このデータセットの信頼性と限界

ここ18か月ほど、RTO 論争は Amazon の週5出社、Salesforce の「チーム合意」、Goldman の恒久出社など、見出しになる事例が主導してきました。これらは事実ですが、示しているのは大手既存企業の PR シグナルであり、より広い技術エコシステムの採用実態そのものではありません。

一方、HN の「Who is hiring?」スレッドが捉えているのは逆の側です。小規模〜中規模の技術企業、スタートアップ、個人創業者が、公開かつ同業者の目にさらされる場で自分たちの採用ニーズを報告しています。これらの企業の多くは、LinkedIn に投稿もせず、Indeed のスポンサー枠も買わず、リクルーターも使いません。欲しい候補者(エンジニア、初期採用人材)は、すでに HN を読んでいるからです。コメントはリアルタイムで読者に見られ、反応されます。その公開査読フィルターのおかげで、HN の採用文面は、比較的きれいに企業の本音を映すサンプルになっています。

したがって、不明を除く46.3%のフルリモート比率は「米国労働市場全体」ではありません。むしろ、Hacker News の採用コミュニティに自発的に参加する企業が、自ら公表した働き方モデルです。この2つの読み方の差はかなり大きいです。

  • 米国労働統計局によると、完全リモート職は米国雇用全体の約10〜15%(2024年)と推定される
  • しかし HN は自選サンプルであり、そもそもリモートに親和的な企業が参加しやすい
  • したがって、今回の46.3%は自選されたリモート親和的な技術系サブサンプルを表しており、マクロな労働市場ではない

この境界は、読む人にとって2つの意味で大事です。

成長・コンテンツチーム向け:もし「リモートはまだ健在」というコンテンツを出すなら、このレポートは十分に引用できます。ただし、必ずサンプル境界を添えてください。たとえば、「Hacker News の採用コミュニティという、リモート親和的な初期技術系に偏ったサンプルでは、フルリモートは依然46%を占め、前年比の下落は1.8ポイントにとどまる」といった書き方です。これならレビューにも耐えます。

採用・人事チーム向け:このレポートのハイブリッド比率(リモート親和的なサブサンプル内で26.1%)は、「ハイブリッドが新常態」という話に対する逆張りのデータです。リモートに親和的な母集団の中でさえ、ハイブリッドが30%を超えていないなら、広い労働市場では純粋なハイブリッドが主流だとする LinkedIn 的な見え方よりも、実態はリモート/出社に偏っている可能性があります。「うちはハイブリッド企業です」という雇用主ブランドは、補正しすぎているかもしれません。狙っている候補者層の中では、本当にハイブリッドを好む人は、マーケティング資料が示すより少ない可能性があります。

6. 安定性チェックと他データセットとの比較

前年比レポートを見ると、当然こう思います。この3.6ポイントのハイブリッド増は、本当にトレンドなのか、それともサンプリングノイズなのか? そこで3つの安定性チェックを行いました。

不明カテゴリはほとんど動いていません。 3.0%から3.2%へ、+0.2ポイントだけです。つまり、両スレッドで投稿ルールの順守状況は安定しており、3つの有意味なカテゴリ間の再配分は、実際の構成変化を反映しています。「今年はラベルが明確な投稿が増えただけ」という解析上のアーティファクトではありません。

出社型も少し下がっています。 もしハイブリッドがフルリモートからだけシェアを奪っていたなら、出社型は横ばいのはずです。ところが実際には、出社型が-1.7ポイント、フルリモートが-1.8ポイント、ハイブリッドが+3.6ポイントでした。これは、ハイブリッドが両端から少しずつ吸収しているという、典型的な中間地帯の台頭パターンです。極端な切り替えではありません。

分母はほぼ安定しています。 2025-05 の総投稿数は302件、2026-05 は317件です。差は15件しかないため、HN 採用コミュニティの採用量は前年比でほぼ横ばいです。シェアの変化は、分母のブレではなく、本当の分布変化を示しています。

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より素直に読むならこうです。このレポートのハイブリッド増加はかなり堅牢ですが、±2〜3ポイント程度のサンプリングノイズは現実的にありえます。PR 用の訴求としては、「Hacker News の採用コミュニティでは、ハイブリッド投稿が前年比で約3ポイント増えた」と言うのは妥当です。ただし、「ハイブリッドが前年比50%急増」などとは書かないでください。 HN の投稿は安定したサンプルであり、二次的な%変化の誇張には向きません。

RTO をめぐる公開データは複数あり、最初に見ると数字が食い違って見えることがあります。でも、サンプルの境界を意識して見ると、それらは補完し合っています。各データは、同じ現実の別の側面を測っているのです。

出典対象範囲典型的な読み取り(2024〜2025)
Stanford WFH Research米国労働者5,000人超の調査米国全体の完全リモートは約14%、ハイブリッドは約28%
Flex Index(Scoop)米国企業9,000社超のポリシートラッカー32%が完全柔軟、55%が構造化ハイブリッド、13%がフル出社
Kastle Systemオフィスのカードスワイプデータ、米国上位10都市圏オフィス稼働率50〜55%(パンデミック前は100%)
Bureau of Labor Statistics米国全体の雇用主調査完全リモートは全雇用の約10〜15%
本レポート(HN Who’s Hiring)HN 採用コミュニティ、619投稿サンプル内のフルリモートは46.3%(不明除外)

これらは矛盾していません。 Stanford は従業員行動を測っています(自宅勤務日数の視点)。Flex Index は雇用主ポリシーを測っています(人事・採用ページの視点)。Kastle は物理的な占有率を測っています(不動産の視点)。BLS はマクロな雇用構成を測っています(労働市場の視点)。そして本レポートは、ある採用チャネルで公に述べられた働き方モデルを測っています(採用チャネルの視点)。5つの視点があれば5つの数字が出ますが、どれも同じ土台の現実を指しています。 つまり、フルリモートは縮小しているものの完全には死んでおらず、ハイブリッドは着実に伸びる中間路線で、完全出社はゆっくり構造的に下がっている、ということです。「業界全体はXだ」と一般化する文章を書くなら、少なくとも2つ以上の視点を突き合わせるべきです。どのレポート1本だけでも(このレポート自身を含めて)、「業界全体」を語るには足りません。


方法論

データソース:Hacker News Firebase API (https://hacker-news.firebaseio.com/v0/item/\{id\}.json)。比較対象スレッド:2025-05(item id 43858554)と 2026-05(item id 47975571)。各トップレベルコメントを1件の採用投稿として扱いました(HN の慣例)。取得スナップショット:2026-05-12(UTC)。クリーニング後のサンプルサイズ:2025-05 は302件、2026-05 は317件、合計619件。

HNコミュニティのバイアス(最重要の注意点):HN の採用コミュニティは、開発者、スタートアップ創業者、初期エンジニアチームが中心です。サンプルは SaaS、AI ツール、リモート親和的企業にかなり偏っています。本レポートは米国または世界全体の RTO 動向を示すものではありません。 金融、製造、小売、医療、教育といった伝統産業は、ここで見えるよりずっと高い出社率で投稿しており、その多くはそもそも HN で採用していません。本レポートのフルリモート比率は、自選されたリモート親和的な技術系サブセットの姿であり、マクロな労働市場の姿ではありません。

サンプルサイズの境界:619投稿の合計です。「N社」ではありません。 同じ企業が複数職種を出すことがあります(通常は各スレッドで1回ですが、スレッドをまたぐ場合もあります)。分母は「投稿数」であり、「ユニークな雇用主数」ではありません。企業単位の分析には重複排除が必要ですが、本レポートでは行っていません。引用は投稿レベルです。

解析精度:HN の投稿ルール順守率は約70%で、ルールベースの解析がさらに約15〜20%を補完し、不明カテゴリが残りを吸収します。月次比較を安定させるため、主要指標には不明除外の割合を使っています。不明カテゴリ自体の前年比変化(+0.2ポイント)は、RTO トレンドそのものではなく、投稿慣行の変化を反映しています。

前年比と長期トレンドの違い:本レポートは単一時点の前年比比較です。長期的な軌道を推定するものではありません。 長期研究を行うなら、少なくとも5年×12か月分の月次スレッド(60データ点)が必要です。HN のスレッドは2011年まで遡れるので、これは十分実行可能な次のプロジェクトですが、本レポートが主張している内容ではありません。

スナップショット時点:取得日は 2026-05-12 です。HN のコメントは投稿後は実質的に変更されません(編集はコミュニティ的に好まれないため)ので、このデータセットは安定して再現可能です。対象が動いてしまう Web スナップショット型のレポートとは違い、長期再現性が高いのはこのデータソースの利点です。

法務・著作権:HN API は公開の読み取り専用 API であり、認証なしで取得できます。コメント本文は元の著者の著作物です。本レポートでは集計カウントと短いフレーズ頻度のみを用いており、全文引用はしていません。企業名(トップ一覧)はポジティブな文脈のみで掲載しています(フルリモート投稿数が多い企業)。特定企業に対するネガティブな評価は行っていません。生の CSV / JSON データセットの配布はしていませんが、本レポート内の数値はすべて公開 HN API から再現可能です。

注意事項

本レポートが支持していないこと

  • 「米国のすべての技術企業がフルリモート投稿をX%出している」
  • 「企業Xはリモート求人を出さなくなった」(本レポートは企業ごとの時系列追跡をしていません)
  • 妥当な表現:「Hacker News の採用コミュニティにおける2025-05と2026-05のスレッドでは、フルリモート投稿は全体の46.7%から44.8%へ(不明除外では48.1%から46.3%へ)変化した」

データソースとバージョニング

収集スクリプト:return_to_office_index_2026/00_fetch_hn_who_hiring.py とその下流パイプライン(本リポジトリ)。収集日:2026-05-12(UTC)。レポート版:v1.0(単一時点の前年比)。データライセンス:HN コメントは著者に著作権がありますが、集計統計の利用はフェアユースの範囲です。AI Required Position Rate 2026 レポートと HN データを共有しており、両者は同じ619投稿を別の切り口(働き方 vs AIツール浸透率)から参照できます。

SEO・コンテンツチーム向け引用ポイント

この調査は、ブログの導入文、データコールアウト、SNS投稿、比較ページ、補足解説などで使える複数の引用切り口を生みます。

  • Hacker News の採用サンプルでは、フルリモートが今も最大の働き方:2026年5月の分類済み投稿の46.3%。
  • フルリモートは前年比で1.8ポイントの微減にとどまり、48.1%から46.3%へ。
  • ハイブリッドは22.5%から26.1%へ3.6ポイント上昇し、本レポートで最大の動き。
  • 出社型も29.4%から27.7%へ下がっており、ハイブリッドはフルリモートと出社型の両方から伸びていると考えられる。
  • 給与の明示は20.5%から27.4%へ上昇し、どの働き方区分よりも大きな動き。
  • ビザ支援への言及は2.6%から2.8%へとほぼ変化なし。
  • このサンプルは、米国労働市場全体ではなく、リモートに親和的な技術系採用チャネルを自選して集まったものです。

この引用では、必ず注意書きを添えてください。ここでの数値は、本レポートで使った特定のサンプルと収集方法を表しています。フル市場の国勢調査、社内の導入率、あるいはカテゴリ内の全企業に関する主張として言い換えるべきではありません。

編集用途では、見出しとなる統計とサンプル境界をセットで書くのがいちばん強い表現です。そのほうが、主張が長持ちし、読者にも信頼されやすくなります。たとえば、「この HN 採用サンプルでは」「この DTC ホームページ静的スキャンでは」「この YouTube チャンネルサンプルでは」のようにサンプルを明示してから、数字をより広いトレンドの話につなげてください。

再現性メモ

配布フォルダには、元のローカルレポートパッケージからコピーした次の処理ファイルが含まれています。公開レポートを、実際のスクリプト、中間出力、図表、元原稿と照合できるようにするためです。

  • process_files/out/analysis_stats.json
  • process_files/out/hn_jobs_parsed.csv
  • process_files/out/hn_jobs_reclassified.csv
  • process_files/out/hn_threads_meta.csv
  • process_files/scripts/00_fetch_hn_who_hiring.py
  • process_files/scripts/01_parse_hn_jobs.py
  • process_files/scripts/02_classify_unknowns.py
  • process_files/scripts/03_compute_stats.py
  • process_files/scripts/04_make_figs.py
  • process_files/scripts/05_build_data_brief.py
  • process_files/scripts/06_build_report_bilingual.py
  • process_files/scripts/07_module_i_check.py

方法論の修正、データセットの不備、追加分析のご提案は support@thunderbit.com までお寄せください。本レポートは2026年5月に収集した公開Webまたは公開APIシグナルに基づいており、上記のサンプル境界を踏まえてご覧ください。

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Shuai Guan
Shuai Guan
ThunderbitのCEO | AIデータ自動化の専門家 Shuai GuanはThunderbitのCEOであり、ミシガン大学工学部の卒業生です。テックとSaaSアーキテクチャの分野で約10年にわたる経験をもとに、複雑なAIモデルを実用的なノーコードのデータ抽出ツールへと落とし込むことを得意としています。このブログでは、ウェブスクレイピングや自動化戦略について、実践で鍛えた率直な知見を共有し、より賢くデータドリブンなワークフローの構築を支援します。データワークフローの最適化をしていないときは、写真撮影という趣味にも同じく細部へのこだわりを注いでいます。

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