最終レビュー・更新:2026年8月。
ブラウザ向けワークフロー、ビジュアルプロジェクト、開発者パイプラインに使える6つのスクリーンスクレイピングツール
スクリーンスクレイピングという言葉は、実はいくつか違う作業をまとめて指しています。たとえば、ブラウザ上で人がすでに見えているデータを取り出すこと、何度も使えるビジュアルな業務フローを記録すること、独自のクローラーを開発すること、あるいはアプリケーションからデータ抽出 API を呼び出すことなどが含まれます。これらはそれぞれ、担当者も運用方法も出力先も違います。本当に大切なのは、機能の多さではなく、実際の業務フローに合うツールを選ぶことです。
このガイドでは、今使える6つのツールを、実際のワークフローに沿って比較します。ブラウザ起点の AI スクレイパー、2つのビジュアルなプロジェクト構築ツール、Python フレームワーク、API 起点の抽出プラットフォーム、そしてレシピベースのブラウザ拡張です。なお、使うのはアクセス権のあるデータに限り、プロジェクトに適用される権限、プライバシー、サイト規約は必ず確認してください。
スクリーンスクレイピングツールの選び方
まずは「簡単か高機能か」という一般論ではなく、運用モデルから考えましょう。
- 今すぐ必要な、ブラウザ上で見えているデータ: 今開いているページを構造化テーブルに変換できる、ブラウザ起点のツールを選びます。
- テストと定期実行に対応した、再利用可能なビジュアルワークフロー: Octoparse や ParseHub のような、ビジュアルなタスクビルダーを選びます。
- コードで管理する、保守しやすいクローラー: チームがコードを書き、テストし、デプロイし、責任を持てるなら Scrapy のようなフレームワークを選びます。
- アプリケーションに API で構造化データを返す: Diffbot のような API 起点の製品を検討します。
- レシピベースのブラウザ作業: ページとの相性がよく、処理がブラウザ内で完結するなら DataMiner のようなブラウザ拡張を検討します。
あわせて、結果をどこに保存するか、ページが変わったときに誰が抽出処理を保守するか、そして対象データの収集が許可されているかも決めておきましょう。
1. Thunderbit: ブラウザ起点の AI スクリーンスクレイピング

Thunderbit は、ブラウザで閲覧権限のあるデータを収集するための agentic web scraper です。つまり、ウェブスクレイピングのための AI エージェントです。スクレイパープロジェクトを最初に作成したり、セレクターを定義したりしなくても、ブラウザ上で見えている一覧、ディレクトリ、商品ページ、ポータル、文書を、構造化された行データに変換できます。
操作はかなりシンプルです。AI Suggest Fields が、今見ているページや文書に対して列を提案します。内容を確認して調整したら、Scrape を1回クリックするだけで抽出が始まります。抽出結果のテーブルは、Excel、Google Sheets、Airtable、Notion などにエクスポートできます。
こんな方におすすめ: 営業、オペレーション、市場調査、不動産、EC チームなど、ビジュアルなフローチャートやコードリポジトリから始めずに、権限のある Web データを構造化して扱いたい場合。
技術的なデータワークフロー向けには、Thunderbit は API、MCP server、CLI にも対応しています。これらは、ブラウザ中心の抽出結果を社内システム、定期実行プロセス、エージェントワークフローにつなげたいときに役立ちます。
ブラウザベースのスクリーンスクレイピングで Thunderbit を試す
2. Octoparse: ビジュアルで再利用しやすい抽出ワークフロー
Octoparse は、スクレイピングタスクを再現可能なワークフローとして整理します。URL、テンプレート、またはカスタム設定からタスクを作成し、サンプルでテストし、ローカルまたはクラウドで実行し、最後に構造化された結果をエクスポートします。現在のドキュメントでは、クリック、スクロール、ページ送り、詳細ページの開封などのビジュアル操作が案内されています。
そのため、まず明確なビジュアルフローを作ってテストし、その後はクラウドで定期収集や無人実行まで行いたいチームに向いています。現在のドキュメントでは、ファイル、スプレッドシート、データベース、クラウドストレージ、その他の連携先への出力も説明されています。
こんな方におすすめ: 再利用できるビジュアルワークフロー、テスト工程、ローカルまたはクラウドの運用モデルが必要な分析・オペレーションチーム。
こんな場合に検討: 抽出が単なる短時間のブラウザ作業ではなく、対象サイトの変化に合わせて誰かがワークフロー設定を保守する必要がある場合。
3. ParseHub: クラウド実行に対応したデスクトップ型ビジュアルプロジェクト
ParseHub は、デスクトップ上のプロジェクトビルダーを中心に据えたビジュアル抽出製品です。現在の製品資料では、ローカルでプロジェクトを作成・テストし、クラウドで実行できることが示されています。また、API を通じたプログラム利用や、有料プランでのスケジュール実行にも対応しています。
デスクトップの画面でプロジェクトを組み立てて確認し、その後の実行をクラウドに任せたいチームにとって、実用的な選択肢です。比べるべきポイントは「動的ページ全般で最強か」ではなく、このプロジェクトベースのデスクトップ運用が、設定と保守を担当する人たちに合っているかどうかです。
こんな方におすすめ: デスクトップのビジュアルプロジェクトフロー、クラウド実行、API アクセスを求める研究者、アナリスト、小規模な技術チーム。
こんな場合に検討: 抽出プロジェクトをローカルで作成・テストし、その結果を ParseHub のクラウド機能で取得・定期実行したい場合。
4. Scrapy: コードで管理するクローラー向け Python フレームワーク
Scrapy は、クローラーやデータ抽出プロジェクトを構築するためのオープンソース Python フレームワークです。ドキュメントでは、spider、CSS と XPath のセレクター、item、item pipeline、フィード出力、middleware、そしてプロジェクト管理のコマンドライン操作が扱われています。
抽出ロジックをソフトウェアのコードベースに組み込みたい場合に合うツールです。開発者はクローラーを定義し、pipeline で item を変換・保存し、独自のデプロイ環境やデータ基盤と接続できます。その分、実装、テスト、インフラ、更新までを自分たちで持つ責任も伴います。
こんな方におすすめ: コードで管理するデータパイプラインの一部として、カスタマイズ可能なクローラーが必要なエンジニアリング・データチーム。
こんな場合に検討: Python 開発の体制があり、スクレイパーの挙動、出力、連携を自社プロジェクト内で実装・保守したい場合。
5. Diffbot: API 起点の構造化 Web 抽出
Diffbot は、Web コンテンツを分類し、構造化 JSON に抽出する API を提供します。現在の Extract API ドキュメントでは、自動解析に加え、記事、商品、画像、動画、ディスカッション、イベント、一覧、求人向けのページタイプ API が案内されています。さらに、ルールベースの出力を定義できる Custom API も提供しています。
Diffbot の Crawl 製品は、seed URL から開始し、リンクをたどって、条件に合うページを Extract API に送信し、構造化結果をまとめて取得できます。これは、ブラウザ拡張をクリックして使う方法や、Python クローラーを自作する方法とは違う運用モデルです。利用側のアプリケーションは API と連携し、返ってきたデータを扱います。
こんな方におすすめ: 構造化されたページデータの抽出やサイト単位のクロールジョブを、API 中心で行いたいプロダクト、データ、エンジニアリングチーム。
こんな場合に検討: 主な連携先がアプリケーションやデータサービスで、内容分類と抽出を API 経由で受け取りたい場合。
6. DataMiner: レシピベースのブラウザ抽出
DataMiner は、Chrome と Edge で使えるブラウザ拡張で、ブラウザ上で見えるページデータを CSV または Excel に出力します。現在の製品ドキュメントでは、抽出用のレシピを使う方法や、カスタマイズされたルールを作成する方法が説明されています。ヘルプセンターでは、レシピのプレビュー、抽出方法の選択、結果データのダウンロードまでの流れが案内されています。
DataMiner は、対応するレシピがうまくはまるブラウザベースの収集作業に向いています。作業者がブラウザ内で抽出内容を確認したい場合にも相性がよいです。ヘルプ文書では、ページ送りのある一覧に対して次ページ処理を自動化する方法も紹介されています。
こんな方におすすめ: 研究者、グロース・オペレーション担当者、そしてレシピ選択と出力プレビューが重要なブラウザ中心のワークフロー。
こんな場合に検討: ブラウザ拡張を使い、レシピを選ぶか調整し、プレビューを確認し、スプレッドシート向けの結果をダウンロードしたい場合。
クイック比較
| ツール | 運用モデル | 最も得意な用途 |
|---|---|---|
| Thunderbit | ブラウザ起点の AI 抽出 | 権限のある、ブラウザで見えるコンテンツを構造化テーブルに変換する |
| Octoparse | ビジュアルなタスクビルダー | ローカルまたはクラウドで、再現可能なワークフローを構築・テスト・実行・出力する |
| ParseHub | デスクトップ型ビジュアルプロジェクト | ローカルでプロジェクトを組み立て、クラウド実行や API アクセスを使う |
| Scrapy | Python フレームワーク | コードベースで独自クローラーを構築・管理する |
| Diffbot | 抽出・クロール API | 構造化 Web データをアプリケーションやデータサービスに連携する |
| DataMiner | レシピベースのブラウザ拡張 | ブラウザで見えるデータをプレビューし、CSV または Excel に抽出する |
どのツールがあなたのワークフローに合う?
チームが、権限のあるブラウザセッションですでに見えているデータを AI の提案で構造化したいなら、Thunderbit を使いましょう。ビジュアルなタスクを作成・テストしてから、ローカルまたはクラウドで実行したいなら Octoparse が向いています。デスクトップのビジュアルプロジェクトビルダーとクラウド実行が運用チームに合うなら ParseHub を選びましょう。開発者が自分たちのスタック内で保守する Python クローラーが必要なら Scrapy です。受け取る側のシステムが抽出 API やクロール API を呼び出す形なら Diffbot を検討してください。レシピベースのブラウザ拡張と、ブラウザ内プレビューが作業に合うなら DataMiner が適しています。
最適な選択は、チームが長期的に責任を持って運用できるツールです。実運用に移す前に、対象ページ、権限、出力品質、保守責任、現在のプラン内容を必ず確認してください。
よくある質問
スクリーンスクレイピングとは何ですか?
スクリーンスクレイピングとは、Web サイトやブラウザ画面に表示されている情報を構造化データに変換する手法です。ブラウザ拡張やビジュアルビルダーから、コードフレームワークや抽出 API まで、かなり違う方法が含まれます。
非技術系のビジネスユーザーに最適なツールはどれですか?
ブラウザ上で見えている、許可されたデータであれば、Thunderbit はセレクターやコードから始めずに列を提案し、テーブルを作成できるよう設計されています。ページとの相性がよければ、DataMiner もブラウザベースの選択肢です。
開発者が管理するパイプラインに最適なツールはどれですか?
Scrapy は、コード管理されたプロジェクトでクローラーを構築するための Python フレームワークです。クローラー実装を自前で持たず、構造化抽出を API 経由で受け取りたいなら Diffbot という選択肢もあります。
定期実行のワークフローを組めますか?
Octoparse にはクラウドタスクのスケジュール実行があり、ParseHub も有料プランでクラウドのスケジューリングを提供しています。最適な選択は、ビジュアルタスク、デスクトッププロジェクト、API 連携、コード管理デプロイのどれをチームが好むかで変わります。
これらのツールはどのサイトでも使えますか?
いいえ、どの製品を選んでも、実際のワークフローをテストする必要はあります。ページ構造、アクセス制御、権限、許可された用途、必要な項目によって、そのワークフローが適切かつ安定して動くかどうかは変わります。
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